【VW ザ・ビートル 試乗】走りもパッケージングも進化…松下宏

試乗記 輸入車
VW ザ・ビートル
VW ザ・ビートル 全 10 枚 拡大写真

『ニュービートル』改め3代目モデルの『ザ・ビートル』が登場した。ニュービートルがデザイン優先のクルマだったのに対し、ザ・ビートルはデザインだけでなくフォルクスワーゲンらしい合理的なパッケージングを持つ。

ルーフラインを後方まで伸ばすことで、後席居住性もしっかり確保したのが特徴で、ザ・ビートルはニュービートルよりも初代ビートルに近い存在である。真っ当なクルマ作りの結果と言っていい。

ただ、ボディはひと回りというか、ふた回りくらい大きくなった。それでも全長が140mm延長されたとはいえ、2ドア車ということもあって4270mmにとどまっているので、まだまだコンパクトなクルマといえるが、全幅は80mmの拡大で1815mmになってしまった。

最近のヨーロッパ車はエンジンのダウンサイジングには熱心だが、ボディ(やタイヤ)のダウンサイジングはほとんど考慮していないかのようだ。

日本では、1800mmを超えるとインフラの影響を受けやすくなり、機械式駐車場にとめられないケースが出てくるので、幅広いユーザーに訴求するためには何とか1800mm以内に収めてほしいところだ。

2ドアなので、後席に乗り込むのは大変だが、乗り込んでしまえばそれなりの居住空間が確保されている。リヤウインドウに頭をぶつける心配はなくなったし、ホイールベースが20mm延長された効果もあって足元空間もまずまず。乗車定員が4名なので横方向は余裕十分だ。

インテリアはダッシュボードやドアなどにボディ同色のパネルが採用され、独特の雰囲気が演出されている。日本車ではなかなか許されない冒険だが、ビートルなら許されるといった感じである。

搭載エンジンは直列4気筒1.2リットルのSOHCターボ。『ゴルフ』のベースグレードや『ポロ』などに搭載されているTSIで、必要十分な動力性能を持つ。ターボによって低速域から十分なトルクを発生するので、非力さなどを感じることなく気持ち良く走れるのだ。

ザ・ビートルのスペシャリティ性を考えたら、1.2リットルではなく1.4リットルのTSIエンジンが適しているようにも思えたが、実際に走らせてみたら1.2リットルで十分だった。

組み合わされる7速のDSGはパドルシフトを備えていて、スポーティな走りを楽しみたいときには積極的にパドルを操作すれば、それなりに元気の良い走りが可能だ。

足回りはドイツ車らしいしっかりした乗り心地を感じさせると同時に、快適な乗り心地も確保されている。スポーツ走行を楽しむより、デザインや雰囲気を楽しむクルマだから、快適性重視の味付けが妥当といえる。

当面は303万円のレザーパッケージだけが販売されるが、後から登場する標準車には250万円の価格が設定されている。標準車は本革シートのほか、オートエアコンやレインセンサーワイパーなど、いくつかの快適装備が省略されるが、50万円の価格差があるので、案外人気を集めそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. 「見れば見るほど味が出てくる」新型日産『リーフ』のエクステリアがSNSで話題に
  3. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  4. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  5. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る