【トヨタ プリウスPHV】本当にお得なのか?…津々見友彦

エコカー 燃費
トヨタ プリウスPHV
トヨタ プリウスPHV 全 6 枚 拡大写真

『プリウスPHV』は、HVの『プリウス』に対してその容量を3倍以上も上げたリチウムイオンバッテリーを搭載しているのが特徴だ。

市街地を流れに乗って走るが50-60km/hでもEVのまま。静かで発進のトルク感があり、市街地でも乗りやすい。電力の消費が心配だったが、アクセルを閉じるや即座に回生しチマチマと稼いでくれている。

この日は往復、28km程度の距離の市街地走行。余程の急加速をさせない限りモーターのみで走れるが、一度追い越しの際、フルスロットルにしたためにエンジンが起動してしまった。帰宅してガレージで普通の100Vの差し込み口で充電。ダッシュパネルのエネルギーモニターをみると、何と3時間と表示。トヨタホームで充電設備(最低約10万円)を完備すると3kWの電力で充電してくれ、短時間で充電の筈だが、普通の配線なので、安全を見込んで、0.3kWの電力でしか充電しないからだ。

この100Vでも一晩中充電すると朝には満充電になり、カタログ値に近い26kmほどの距離は走れるだろう。実際私の今回の経験では1日目は24.4km、2日目は28kmを走行したが、殆どEV走行のみ。平均燃費は28.0km/h(JC08モード)だったから、数値上は一滴もガソリンを使わずに走れる。

28km走行した日の電力料金は79円(昼間電力)だったが、夜間電力なら30円以下になる。

ところでプリウスPHVはHVのプリウス(ノーマルプリウス)に対して買いなのか? 実際に得なのだろうか?

今回のPHVの実燃費が28.0km/リットルとしてノーマルプリウスの実燃費を14.5km/リットルと仮定。現在のレギュラーガソリン代を145円(/リッター)で計算する。

PHVとの価格差は約88万円(プリウスPHV320万円、ノーマルプリウスSグレード232万円で計算)だが、PHVには補助金が約45万円出る。と、その価格差は約43万円。この43万円についてだが、ノーマルプリウスなら43万円で約4万3500km走行できる。一般ユーザーであれば5年間で走行するくらいの距離だろうか。補助金を含めた試算では、「プリウスPHV本体購入価格」である約275万円で、「ノーマルプリウス本体購入+約4万km走行」が実現することになる。

こう考えるとノーマルプリウスの方が得な感じだ。

さて、プリウスPHVで4万km(HV走行のみ)を走ったとすると、いくらになるだろうか。28.0km/リットルの実燃費では、約21万円かかることになる。補助金込みで試算すると、本体約275万円+約21万円(4万km走行ガソリン代)=約296万円となる。HV走行では「プリウスPHV本体購入価格+約4万km走行(HV走行)」に必要な金額が約296万円ということになる。

ではプリウスPHVで4万kmをEV走行したらいくらになるだろうか。今回の試算によると11万2千円の電力代がかかる計算なので、「プリウスPHV本体購入価格+約4万km走行(EV走行)」に必要な金額が約286万円ということになる。

本体購入+約4万km走行する際のプリウスPHVとノーマルプリウスの価格差は、PHVがHV走行した場合で最大の21万円、PHVがEV走行した場合で11万円となる。プリウスPHV使用時におけるEV走行距離が伸びれば、ノーマルプリウス使用時のランニングコストを下回るポイントがいずれ訪れる。そのポイントが訪れる保有期間・走行距離は、オーナーの使い方次第だ。

単純な損得計算だとどうも分が悪い。が、地方の僻地で電気は来ているが、ガソリンスタンドもましてや充電ステーションが近くない場合、近場はEV走行。遠出はガソリンハイブリッドで…と、いうニーズがあるのかも。

《津々見友彦》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ RAV4 新型の価格は390万~630万円と予想…電動グレード体系に再編
  2. ホンダ N-BOX など7車種1万2653台リコール…過去の改善措置が不適切
  3. スズキ『ジムニー』、フランス最終モデルは55台限り…6月末に発売へ
  4. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
  5. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る