プチバン、新たなメインストリームとなるか

自動車 ビジネス 国内マーケット
トヨタ・ポルテ Xグレード(ボディカラー:スーパーレッドV)
トヨタ・ポルテ Xグレード(ボディカラー:スーパーレッドV) 全 12 枚 拡大写真

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた、7月の車名別新車販売台数によると、4位から8位は軽自動車となった。なかでも『N BOX』と『タント』といったスライドドア採用のいわゆる“プチバン”がで好調を維持している。

7月の車名別新車販売台数は以下の通り。プチバンの筆頭、N BOXを超えたモデルは『プリウス』『アクア』『フィット』の3モデルとなった。カッコ内は前年同期比。

1位:プリウス 3万3398台(37.9%増)
2位:アクア 2万6274台
3位:フィット 2万4153台(16.4%増)
4位:N BOX 21837台
5位:ミラ 20472台(220.2%増)
6位:ワゴンR 17489台(16.3%増)
7位:タント 17364台(35.7%増)
8位:ムーヴ 14078台(9.7%増)
9位:カローラ 1万3404台(114.7%増)
10位:ヴィッツ 1万3138台(1.3%増)

プチバン市場の競争は激化の様相を呈している。その要因のひとつはエコカー補助金の終了だ。価格の見直しは購入者の選択にも少なからず変化を起こす。

そしてもうひとつの要因は、プチバンに相当する新モデルの投入だ。トヨタ自動車は、フルモデルチェンジした『ポルテ』および、新型車『スペイド』を7月23日より発売開始。プチバンのトップランナーであるN BOXを脅かす存在となるだろうか。

トヨタ 新型ポルテ/スペイドでプチバン市場に本腰

ポルテはリラックス感を、スペイドはシャープな造形で存在感を主張した外観とすることで、異なる個性のクルマとしている。開口幅1020mm×開口高1250mmのワイヤレス電動スライドドアを助手席側に標準装備。300mmと低いフロア地上高と段差のないフラットなフロア(2WD車)により、優れた乗降性を実現している。前後に700mm(2WD車)スライドする助手席シートや、クッションチップアップ機構が付いた6:4分割可倒式リヤシート(「Y」「F」「G」2WD車)などにより多彩なシートアレンジも可能。

パワーユニットは、実用性の高い1.3リットル1NR-FEエンジンと、大幅に改良した1.5リットル1NZ-FEエンジンを採用。全車Super CVT-iと組み合わせることで、滑らかな走りと低燃費を実現。アイドリングストップ機能をオプション設定し、1.5リットル 2WDアイドリングストップ機能付車は、走行燃費20.6km/リットル(JC08モード)を達成している。価格はいずれも145万円から191万円。

一方、プチバン市場をリードするN BOXは、燃費は22.2km/リットル(JC08モード)、価格はG・LパッケージのFFが134万円、カスタムのG・LパッケージのFFが155万円。

N BOXに続き、「新しい可能性をプラスする」をコンセプトとした「N」シリーズの第2弾となる『N BOX+』は7月6日に発売開始。斜めの床とアルミスロープの装備で荷物の積み降ろしを容易にする「ユニバーサルブリッジ」と、大きさの異なる3つのボードにより多彩な空間アレンジを実現する「マルチスペースシステム」を採用している。ボディとルーフを異なる色で塗り分けた2トーンカラースタイル仕様も設定。価格は135万円から187万円。

各社ラインアップの拡充でプチバン市場全体は勢いを増している。

メーカー首脳の見解は

ホンダの伊東孝紳社長は去る6月20日、記者団と懇談で軽自動車N BOXの市場投入について、「軽の強化策が何とか間に合った」と一定の手応えを示した。伊東社長は2009年の就任時に「強い意思をもって軽の強化に取り組むことにした」と振り返り、ダイハツ工業とスズキによる寡占化が進んでいた軽自動車市場に、ホンダとして戦いを挑むギリギリのタイミングだったが、結果としてN BOXの市場投入は絶妙なタイミングであり、購入者のニーズを満たす車両であることは好調な販売がその裏付けとなっている。

トヨタの前川眞基副社長は、ポルテ/スペイドの発表会で一部報道陣に対して「この車のニーズは高い。販路も含めて幅広いお客様の受け皿を用意し、お客様が選択できるようになれば」と述べた。ポルテ/スペイドは国内専用車だが、その意義については「それぞれの国、地域で合う車を出していくというのは、商品開発の基本。日本に合う車を出して、それが事業として成り立っていくことが、為替の状況を鑑みても意味がある」としている。

軽自動車から小型車まで、スライドドア採用のプチバンには、幅広いニーズがある。低燃費を謳い、補助金も後押しとなったハイブリッド車へのニーズ集中は緩和し、用途に応じて柔軟に変化するプチバンが国内市場の新たなメインストリームとなるか。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 「ホンモノのGT」が日常を小冒険に変える…マセラティの新型『グラントゥーリズモ』が誘う世界とはPR
  2. SHOEIが新型フルフェイスヘルメット『GT-エアーIII』にグラフィックモデル「DISCIPLINE」を設定
  3. 【トヨタ GRカローラ 新型試乗】「GRヤリス」とはスタンスが明確に違う理由…河村康彦
  4. 『N-BOXカスタム』用パーツが一挙発売、ブリッツからエアクリーナーシリーズ4種類・5製品が発売
  5. ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
  6. アルピナ『B3』が2度目のフェイスリフトへ! リムジン&ツーリングをWスクープ
  7. [音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
  8. ホンダの新型SUV『WR-V』、発売1か月で1万3000台を受注…月販計画の4倍超
  9. レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
  10. いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
ランキングをもっと見る