【パイクスピーク12】大荒れのパイクスはコンマ017秒の大接戦…詳細レポート

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奴田原選手の走り
奴田原選手の走り 全 14 枚 拡大写真

8月12日、米コロラド州で第90回となるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの決勝が行われた。山火事の影響で約1ヶ月開催が延期となった今年のパイクスはレースも大波乱の連続だった。

今年はEVクラスにエントリーし、自身のコースレコードを更新しての7連覇に意欲をみせていたパイクスの絶対王者モンスター田嶋がまさかのリタイア。EVクラスは初参戦のTMG・奴田原が制覇した。アンリミテッド・クラスも優勝候補が続々コースアウトを喫する大荒れの展開となり、リース・ミレン(ヒュンダイ・ジェネシスクーペ)がコースレコード更新のタイムで悲願のクラス勝利を果たした。

ロッキー山脈に連なるパイクスピークの標高2862地点から156のターンを抜け標高4300m地点、雲の上にあるゴールを目指し山道を一気に駆け上がりそのタイムを競うレースは、昨年モンスター田嶋こと田嶋伸博がアンリミテッド・クラスで「10分の壁」を破り9分51秒278のコースレコードで7勝目、6連覇中だ。

今年田嶋は心機一転、ニューマシン「タジマ・モーター・モンスタースポーツ・パイクスピーク・スペシャル」でEVクラスにエントリー。このクラスには昨年のクラス覇者塙郁夫(サミット Her02)を始め、今回は増岡浩(ミツビシ・i-MiEV Evolution)、奴田原文雄(トヨタTMG P002)ら有力日本人ドライバーも続々参戦。また今年はコース全域が舗装されたこともあり、田嶋のもつコースレコードへの挑戦も注目を集めた。

午前9時、最初のカテゴリーであるモーターサイクルの各クラスからヒルクライムレースがスタートした。11時過ぎ、4輪クラスのトップバッターとして全クラス総合のポールポジションを獲得したアンリミテッド・クラスのジャン・フィリップ・デイロー(ダチア・ダスター)が山登りに向かったが、なんとコースアウトでDNF。同じくアンリミテッド・クラスのポール・ダレンバック(PVA-03)もコースアウトを喫し、優勝候補の二人が戦線から脱落する予想外の幕開けとなった。

午後1時に注目のEVクラスのタイムアタックが始まった。大本命・田嶋が7連覇をかけ山登りに向かった直後、大波乱がおきた。スタートからわずか1キロの地点でコックピットからスモークがあがり、なんとモータートラブルで田嶋はDNF。EVクラスは初参戦の奴田原が10分15秒380で制覇、ミツビシ・i-MiEV Evolutionを駆る増岡が10分30秒850で2位、昨年のクラス覇者・塙郁夫(サミット Her02)は自身の記録を更新する11分58秒974のタイム5位でレースを終えた。

午後2時過ぎ、パイクス・ピーク・オープン・クラスのロメイン・デュマス(ポルシェGT3R)が9分46秒181秒をマークするとタイムアタック・クラスのリース・ミレン(ヒュンダイ・ジェネシスクーペ)がコンマ017秒上回る9分46秒164秒のコースレコード更新のタイムで悲願の総合初勝利を果たした。

EVクラス以外の日本人選手は、エキジビションクラスのケン・グシ(レクサスIS-F CCS-R)と相澤剛(サイオンtC)がそれぞれクラス2位、4位、タイムアタック・クラスの吉岡稔記(日産シルビア)はクラス3位の成績を残した。

四輪83台、モーターサイクル87台という参加台数の多さに加え度重なる赤旗中断で例年よりも長引くレース、タイムアタック・クラスが始まる頃には現地の天候は下り坂に。夕方になるとゴールの山頂には大粒の雹が落ちてくるなど、路面状況の悪化で急遽フィニッシュラインを頂上から少し下った地点のグレンコーブに移し、距離を短縮して残りのタイムアタックを終了。

雲の上を目指したマシン達は、悪天候の中でも最後までエントラントに声援を送った沿道の観客に見守られながら、今年も熱い戦いが繰り広げた山を下っていった。

《ケニー中嶋》

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