【トヨタ プリウスPHV】ハイブリッド車としてPHVを使うと…青山尚暉

エコカー EV
トヨタ・プリウスPHV
トヨタ・プリウスPHV 全 9 枚 拡大写真

『プリウスPHV』と『プリウス』の”HV走行燃費”はPHVが31.6km/リットル、HVは30.4km/リットルだ(JC08モード)。

その差はわずかだが、もしプリウスPHVをHV走行だけで使うとしたら燃費差はどうなるのか? そんな疑問がわいてきた。理由はこうだ。もし、プリウスPHVを所有し、自宅に200V充電コンセントを設置しても、世の中、何があるか分からない。充電設備が故障することもあるだろうし、この先、計画停電がないとも言えない。トヨタディーラーや高速道路のSAにある充電設備をアテにしても、充電したいときに近くにあるか、使えるかどうかは分からない。

ちょっと意地悪だが、あらためてプリウスPHVとプリウスを借り出し、プリウスPHVを常時HVで走らせるテストを行った(どちらも15インチタイヤ装着車)。

走行距離300km。市街地50%、高速道路50%の行程で、ECOモード、気温29~32度、エアコンは25度オート設定だ。

結果、プリウスPHVは26.7km/リットル、プリウスは20.1km/リットルだった。けっこう差があるな! というのが第一印象である。

本題はここから。重要なのはその理由だ。エンジン出力、モーター出力はまったく同じでプリウスPHVのほうが車重が60~70kgも重い。これいかに? である。

考えられる理由はまずバッテリー&その容量の違い。プリウスPHVはより軽く高効率なリチウムイオンで21.5Ah、56個。プリウスはニッケル水素で6.5Ah、28個。プリウスPHVはHVモードに固定してもプリウス同様、EV走行をするシーンがある。その距離が長くなる理屈だ。そして回生能力も20%増しになる(PHVオーナーであるレスポンス編集長三浦も走行距離21.6km、平均車速28km/hの条件で30.9km/リットルを記録している)。

さらにプリウスPHVは全車の車体床下に空力向上を目的としたカバーが全グレードに備わり、プリウス用よりころがり抵抗に優れるタイヤが装着されている点も見逃せない。

以上が60~70kgの車重増を克服し、HVモード固定でもプリウス以上の実燃費を記録した要因と推測できる。

上記の燃費データはあくまでテスト時に限定された結果だが、もしプリウスPHVが充電できず、EVモードをまったく使えなくても、プリウス同等以上の実燃費を発揮できることは間違いないだろう。加えて、ECOモード時の出足の加速感は同じアクセル開度でもプリウスPHVのほうがより力強くストレスフリーだったことも合わせて報告しておきたい。

それにしても、プリウスPHVのハイブリッドシステムインジケーターに表示される平均燃費の数値は、驚きだけでなく、精神的な癒やし効果があるとさえ思えた。実燃費で26km/リットルを超えるなんて、初期投資額はどうあれ、ほおがゆるむじゃないか。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. スバル初の小型クロスオーバーEV『アンチャーテッド』正式発表、2026年発売へ
  2. 大成建設、高速走行中の給電に成功、EV向け「無線給電道路」の実証実験で[新聞ウォッチ]
  3. 車内すっきり! ワンタッチでCarPlayがワイヤレスに、「OTTOCAST MINI」発売
  4. トヨタ「クラウン」「アルファード」など21車種、64万台超の大規模リコール[新聞ウォッチ]
  5. トヨタ『クラウンスポーツ』520万円の入門モデルを7月30日発売、70周年記念車も
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
  4. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  5. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
ランキングをもっと見る