【インタビュー】ウェザーニューズ役員…サービス開始のきっかけは

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ウェザーニューズ取締役・石橋知博氏(むかって右)とシステム開発本部長・西祐一郎氏。
ウェザーニューズ取締役・石橋知博氏(むかって右)とシステム開発本部長・西祐一郎氏。 全 4 枚 拡大写真

 1986年に創立したウェザーニューズは、これまで「天気」だけで27年間も業績を伸ばし続けている企業。現在はテレビの天気予報やスマートフォン向けのアプリ『ウェザーニュース タッチ』で有名だが、元々は船に気象データを提供する法人向けのサービスを行なう企業だった。取締役・石橋知博氏とシステム開発本部長・西祐一郎氏に気象情報を集める工夫を伺った。(前編)

●天気だけで27歳まで成長したウェザーニューズ

 「船は気象状況に左右されやすい乗り物なので、正確な気象データは大海を航行するときにもっとも重要な情報」と石橋氏。そのため、ウェザーニューズは世界中の気象情報を収集・分析し、顧客である船に対してもっとも安全で、なおかつ燃料費のかからない航路情報を提供し続けてきた。世界的な原油高騰の影響によって気象データのニーズは高まり、船だけでなく航空機や電車など、さまざまな業界に顧客を増やしていった。

 そして1999年2月、NTTの携帯電話向けサービス「iモード」がスタートしたときにコンシューマービジネスを開始。携帯電話の普及とともに業績を伸ばしていき、現在の売り上げは法人向けサービスとほぼ同額を稼ぎ出している。現在は国内に17か所、海外に13か所のオフィスを構え、社員は国内約500人、海外約100人である。

●正確な気象情報を集めるための3つの手段

 「ウェザーニューズは制度の高い気象データを得るために、3つの方法で気象データを収集している」と石橋氏は説明する。ひとつめは世界中の国が所有している観測機のデータ。日本の気象庁が持っている「アメダス」は有名だが、世界中のほとんどの国に、このような観測機があるそうだ。これらの情報を購入し、分析結果を顧客に提供している。

 ふたつめは、ウェザーニューズが独自に設置している観測機のデータ。こちらは特定の地点の詳細な気象データを得るときに適している情報収集手段だ。

 そして3つめは、2004年から行なっている“ウェザーリポート”。これは、ウェザーニューズの会員にいまの天候を送信してもらい、集まったデータを元に気象地図を作成するシステム。石橋氏は「3つの収集手段のなかで、ユーザーからの気象データがもっとも重要。従来の気温や湿度のデータよりも、人が感じた生のデータのほうが価値がある」と語る。なお、ウェザーニューズではユーザーから送られてきたデータのことを“観測”ではなく“感測”と呼んでいる。実際に計測したデータではなく、人間が肌で感じたデータを扱っているからだ。

●人間が集めたデータを数値化する苦労

 ウェザーリポートを開始する前は、データの分析方法で頭を悩ませたそうだ。「本来気象情報というものは、気温は度、雨はミリ、風邪は秒速何メートルという単位で測るのだが、リポートを送ってきてくれる一般人には測るすべがない」と石橋氏。

 そこで、雨は「ポツポツ」や「ザーザー」といった音で報告できるようにし、雨量に変換する方程式を作り上げた。石橋氏は「ユーザーから届いた膨大な量のリポートを分析し、それを実際の観測データと紐付けて方程式を作った」という。

 その結果、現在ではユーザーが感じた情報を元に、かなり制度の高い気象情報を得られるようになった。当然、この気象データはリポート数がカギを握るため、ユーザー数の人数が多ければ多いほど、気象情報は正確になっていく。

【インタビュー】ウェザーニューズ社石橋知博取締役……船舶運行サービスがはじまり

《佐藤隆博@RBB TODAY》

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