小糸製作所、不快なまぶしさを低減した白色LEDを実現するクルムス蛍光体を開発

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Cl_MS(クルムス)蛍光体
Cl_MS(クルムス)蛍光体 全 3 枚 拡大写真

小糸製作所は、東京工業大学の細野秀雄教授の研究グループ、名古屋大学の澤博教授の研究グループとの共同研究により、新しいLED用Cl_MS(クルムス)蛍光体を開発したと発表した。

クルムス蛍光体は、主成分が貝・骨・岩石や塩などに含まれる、ありふれた元素で構成される酸化物ながら、新しい結晶構造を持つ新物質。

白色LEDは、環境に優しい光源として普及が進んでいる。現在主流の白色LEDは、青色チップと黄色蛍光体(YAG蛍光体)を組み合わせたもの。このタイプの白色LEDは、発光部が狭く点光源状に発光するため、不快な眩しさを生じ易い、照射範囲が狭いなどの課題があった。このため、ダウンライトやスポットライトなどの部分照明には適しているが、部屋全体を照らす主照明には不向きだった。

今回開発したクルムス蛍光体は、紫色光を90%以上の効率で黄色光に変換する。青色蛍光体と紫色チップを組み合わせることで、発光効率の高い白色LEDを実現した。この白色LEDの発光部は、点光源状ではなく、大面積、立体的な形状を構成できることから、明るさを向上させながら、不快な眩しさを大幅に低減する。広範囲を照射でき、主照明に適した人に優しい発光が得られる。

加えて、電球・ライン光源・キャンドルライト状など、用途にあった形状を自由にデザインできるほか、製造時の色のバラツキを抑えられ、歩留まりの向上も見込める。

クルムス蛍光体は、これまでの常識を覆し白色LEDに新しい可能性を拓き、屋内主照明で白色LEDの普及に寄与する可能性がある。

今回の研究では、名古屋大学が大型放射光施設スプリング-8の高輝度放射光を使ってクルムス蛍光体の詳細な結晶構造解析を行い、東京工業大学がクルムス蛍光体の発光メカニズムの解明を担当した。

研究成果は、10月16日発行の英国科学誌「ネイチャー・コミニケーションズ」のオンライン版に掲載された。

《レスポンス編集部》

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