【福祉車両レポート】隔絶感がなく、同じ目線で会話できる工夫がこらされたトヨタノア & ラクティス…まるも亜希子

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トヨタ ラクティス 車いす仕様車(スロープタイプ) 助手席側リヤシート付
トヨタ ラクティス 車いす仕様車(スロープタイプ) 助手席側リヤシート付 全 30 枚 拡大写真

小さな子どもがいたり、旅行によく出かけるファミリーなどは、車椅子のほかにもベビーカーやスーツケースなど、荷物がたくさん運べるクルマが必要だ。

でも奥様が運転する場合や街中での運転しやすさを考えると、あまり大きなクルマは遠慮したい。そうなるとミドルサイズのミニバン、トヨタ『ノア』あたりが候補にあがってくる。

◆ミドルサイズミニバンの広々感とリフトアップシートの利便性…ノア

両側スライドドアでゆったりとした室内は、3列シートで7人乗り。今回はセカンドシートが電動で回転して昇降する、「サイドリフトアップシート車(標準タイプ)」を試してみた。標準タイプのほかに、シートがそのまま車椅子としても使える脱着タイプがあり、シートから車椅子への乗り換えが大変な人や、ロングドライブの時の乗り心地を重視する人に選ばれているという。

私はこの脱着タイプのシートにとても興味を引かれた。というのは、もし自分の足腰が弱ってしまった時、または介助する立場の時でも、車椅子からシートへ移るのが最も時間と労力を使うからだ。

屋内ならともかく、炎天下や雨の中だったらと考えると辛そうだし、女性ひとりで介助するのは不安でいっぱい。もし車内と車外で同じシートが使えれば、移乗する苦労が減るだけでなく、荷室へ車いすを収納する手間も省くことができる。介助者の不安も一気に解決できるだろう。

ノアの電動式の脱着シートは、車外へスライドダウンしたあとに横のレバーを引くと、シートの固定がはずれて自由に動くことができる。手元のコントロールパネルで速度の速い・遅いを選んだり、右手のアームレストについているジョイスティックで、前後・左右に操ることができた。

その動きはとてもキビキビとしていて、車椅子というよりは遊園地の乗り物のようにアクティブ。動きたい方向に思い通りに行けるので、楽しくなってしまったほどだった。そしてサイドリフトアップシートとして固定し、車内に電動で収まる時にはゆっくりと安定した動きで、とてもスムーズ。他の席との違和感がないのも好印象だった。

◆移動空間も苦にしない工夫がたくさん…ラクティス

続いてラクティスの「車いす仕様車(スロープタイプ) 助手席側リヤシート付」も試してみた。トヨタで販売しているコンパクトクラスの車いす仕様車としては、もっとも売れ筋の仕様。ラゲッジ部分に車椅子ごと乗るタイプで、リアシートが1名分あるので車いすに乗る人を含めても4名乗車ができてファミリーもOKだ。

こちらは車高を電動で下げた後、手動でスロープを引き出し、セーフティベルトで車椅子を固定して手動で押して乗せていく。フックで車椅子をしっかり固定し、装置をロックすれば完了。

こうやって言葉で説明すると少し難しそうだが、プロセス自体は思ったよりも簡単で、覚えるのも苦ではない。ただ、車椅子を押して乗せるのはかなりの力がいるとのこと。ノアにはオプションで電動ウィンチがあるので、やはりそちらが魅力的だ。

ノア、ラクティスに共通して良かったところは、みんなと同じ空間に一緒にいる感じがちゃんと味わえること。リフトアップシートだけでなく車いすで乗り込んでも、隔絶感がなく、同じ目線で他の乗員と会話を楽しめる。これなら、ドライブ中の会話も増えて、楽しみがさらに広がりそうだ。

《まるも亜希子》

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