個人的にBMW『3シリーズ』のMT車を走らせるのは、遥か以前に取材で乗った初代E-21の中古車か、友人が所有していたE-30のM3以来かもしれない…と思った。
『320i』といえば、まさに3シリーズの代名詞のようなモデル。新しい2リットルの4気筒ツインパワーターボを得て復活。しかも6速MT(8速ATも用意される)で乗れるというのだから嬉しい。
走らせた印象は、シンプルで素直で非常にスムース、だった。頭の中でE-30を箱根で走らせた記憶が絵と体感で蘇ったことを報告しておこう。エンジンは非常にフレキシブルだし、パワー感は自然で、各ギヤの守備範囲内で気持ちよく回ってくれる。意外にもクラッチペダルのタッチにクセはないし、シフトも適度にシットリとしたタッチを味わわせてくれつつ、キチンと各ポジションに決められる。
もちろんハンドリングも爽快感があるもの。車両重量は1510kgと、シリーズ中、軽量な部類だが、なお軽くコンパクトなクルマを走らせている感覚だ。ステアリングやアクセル操作で思い通りにクルマを操れる…そんな気持ちよさを存分に堪能させてくれる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。