災害救援航空機情報共有ネットワークでヘリへの任務伝達時間を72%短縮

宇宙 企業動向
 D-NETを搭載した神戸市消防防災ヘリコプター
D-NETを搭載した神戸市消防防災ヘリコプター 全 9 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、総務省消防庁、神戸市消防局と「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」を使った消防防災ヘリコプター運航管理システムの評価実験を行った。

10月27日に行われた緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練に、D-NETを消防防災ヘリコプター、運航拠点、総務省消防庁に試験的に導入、実際の災害を想定して運用した。実験を通してD-NETを使って情報を共有化するとともに、情報を運航管理に活用することによって、災害救援活動を効率的に実施できる効果を検証した。

従来の運航管理では、各ヘリコプターと運航拠点の間は、航空無線を用いた音声通信によって情報のやりとりを行っている。運航拠点では、災害対策本部から電話などによって送られてくる災害情報についてホワイトボードなどを使って整理・共有化し、どの機体にどの任務を割り当てるかを決めていく。

D-NETの機材を搭載したヘリコプターでは、災害情報を機上でデータ化し、衛星通信を使って運航拠点に送信することが可能。運航拠点では、ヘリコプターや地上の消防隊員から送られてくる災害情報が地理情報システム(GIS)上に表示されるとともに、その情報に基づいてヘリコプターに任務を割り当てるための判断支援をシステムが行う。

任務を割り当てられた機体には、衛星通信によって任務に必要なデータが送信され、機内のディスプレイに指示が表示される。これによって従来と比べてより迅速に任務を実施できる効果が見込まれている。また、全ての情報は、総務省消防庁に設置されたD-NET端末上でもリアルタイムでモニタすることが可能。

今回の訓練では、山崎断層で地震が発生、姫路市で震度6強という被害を想定、近隣府県からの応援も含めて7機の消防防災ヘリコプターが神戸ヘリポートに参集し、従来の手法で運航管理を行った。

一方で、神戸市消防防災ヘリコプター1機にD-NETの機材を搭載、D-NETを搭載したJAXAの実験用ヘリコプターも参加し、運航拠点、災害対策本部、総務省消防庁にD-NET端末を設置した。災害情報の収集から任務の実施までの一連の流れの運航管理をD-NETで行った。

神戸市消防防災ヘリコプターからD-NETで送られてくる災害情報に基づいて、運航拠点で、JAXAのヘリコプターに想定被災地(赤穂市)へ救援物資を輸送する任務が割り当られ、実際に物資を輸送した。このケースでは、D-NETを用いた場合に、従来の運航管理手法と比べて、災害の発見から救援活動を任務とするヘリコプターへ任務情報を伝達するまでの時間を約72%、23分程度短縮できる効果を確認した。

また、総務省消防庁用のシステムで、緊急消防援助隊の活動状況がモニタ可能になることにより、現地でヘリコプターが不足している場合に全国の消防防災ヘリコプターの中から適した機体を選定して派遣するなど、広域応援をより迅速に行える効果も確認できたとしている。

《レスポンス編集部》

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