ホンダは11月13日、同日発表した1モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」と合わせて、中型・大型車種に採用予定のハイブリッドシステム搭載試作車を発表した。いずれも、走りと燃費を高次元で両立させる「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」の技術群のひとつ。
◆3つの走行モードを最適選択する2モーターのSPORT HYBRID i-MMD
2モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Multi Mode Drive/Plug-in」は、高効率で大出力のモーターを採用し、EV特有の軽快な加速感と高い燃費性能の両立を目指した。新開発のハイブリッド専用エンジンと、2モーター内蔵のエンジン直結クラッチ付き電気式CVTにリチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、走行状況に応じて3種のドライブモードを最適に切り替える。ホンダは、2012年8月末の時点でハイブリッド車としては世界最高の効率を実現と説明する。
また、本システムはプラグインハイブリッド車用としても適しており、北米にて「アコード」に搭載し、来年1月より販売を開始する予定。ハイブリッドに比べて容量の大きなリチウムイオンバッテリーは、EV仕様での利用も考慮された特性を持つという。
メディア向け説明会では、米国のアコードセダンをベースにした試作車両を用意。バッテリーの電力によりモーター駆動で走行と減速回生を行う「EVドライブ」、中・高速クルーズ時に低伝達フリクションで高効率なエンジン走行をおこなう「Engineドライブ」、そして市街地や強い加速が必要な際に、エンジンで発電してモーター駆動で走行する「Hybridドライブ」という3種のドライブモードを運転状況やバッテリーの残量に応じてダイナミックに切り替える。
◆トルクベクタリングによる意のままのハンドリングを実現する3モーター SPORT HYBRID SH-AWD
大型車向けに搭載が見込まれる3モーターのハイブリッドは『レジェンド』に搭載された「SH-AWD」を応用し、ハイブリッドシステムと組み合わせたものだ。V型6気筒エンジンと高出力3モーターシステムを組み合わせ、V型8気筒エンジンと同等の加速性能と、直列4気筒エンジン以上の低燃費を同時に実現するという。
フロントにはV型6気筒3.5リットルの直噴エンジンと1モーター内蔵7速DCTを組み合わせる。またリアには2つのモーター駆動により左・右後輪のトルクを自在に制御し、燃費と走りを高次元で両立させた。
このシステムでは、左・右後輪の独立のモーターを、外輪はプラスのトルク、内輪はマイナスのトルクとすることにより、エンジン出力に依存せず、後輪トルクを自由自在に制御することが可能。コーナーの大きさに応じて、内輪で発生したエネルギーを電気的に回収して外輪に与え、クルマの旋回に必要な力を自ら生み出すといったトルク制御をおこなうという。