三菱重工業は12月11日、次世代型LNG(液化天然ガス)運搬船として開発した「さやえんどう」船型の第1番船を、長崎造船所で起工した。
同船は大阪ガスおよび商船三井向けに昨年10月に受注した同型船2隻のうちの1隻で、球形タンクを持つMOSS方式船を進化させることにより、燃費やメンテナンス性が大幅に向上している。完成・引き渡しは2014年度の予定。
今回起工したLNG運搬船は、長さ288m、幅48.94m、満水喫水11.55m、総トン数13万8000トンで、航海速力は19.5ノット。タンク総容積は15万5000立方メートルとなっている。同船は、大阪ガスの100%出資子会社でLNG運搬船の運用を手掛ける大阪ガスインターナショナルトランスポートと、船舶管理会社を務める商船三井の両社による共同保有となる。
さやえんどう船型では、球形タンク4基を、船体と一体構造の連続タンクカバーで覆うことにより、船全体の強度を確保しながら軽量化を実現。さらに、航行中の風圧による抵抗を大幅に軽減する。また、主機関には蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型の「MHI UST(再熱舶用推進蒸気タービン)」を採用。燃費は従来船と比べ単位荷物あたり約25%の低減を可能にしている。
連続タンクカバーの採用により、タンク頂上で配管、電線、通路を支える複雑な構造物が不要になることから、メンテナンス性が大幅に向上しており、燃費改善によりCO2排出量も抑制されている。さらに、バラスト水処理装置を搭載することによる海洋生態系への影響低減など、環境対応力も高めている。