【池原照雄の単眼複眼】魅せるトヨタ博物館の75周年特別展示

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トヨタ博物館 TOYOTA75展 歴代カローラ
トヨタ博物館 TOYOTA75展 歴代カローラ 全 8 枚 拡大写真

実車だけでも51台と過去最大規模

愛知県長久手市のトヨタ博物館が「TOYOTA75」を開催している。今年、創立75周年を迎えたトヨタ自動車の歴史を車両や技術紹介などで振り返る特別展示だ。愛知県で会合があった折に足を運んだが、これが予想外の感動ものだった。

2013年の4月14日まで開かれるこのイベントでは最初の乗用車「トヨダAA型」をはじめ、51台の実車と、48台の5分の1スケールモデルが展示されている。

1989年にオープンしたトヨタ博物館は、「トヨタ車」の博物館というよりも、19世紀末に誕生した「自動車」の歴史を紹介する博物館だ。常設展示では欧米車や日本車全般に力点を置いているだけに、「これだけの規模でトヨタ車を展示するのは初めて」(杉浦孝彦館長)という。

喜一郎氏の自筆原稿と図面も

展示会場の冒頭には、創業者豊田喜一郎氏の自筆による「今後の技術者の立場」と題した挨拶文の原稿や、ヘリコプター用エンジンの図面なども展示されている。挨拶文には終戦翌年の昭和21年9月5日の日付が記されており、この日にトヨタの全技術者を集めて開いた会合のために用意したものだ。字はあまりきれいではない。

一方、アイデアをスケッチ画にしたと思われる図面はフリーハンドで、定規を使っていないにも拘わらず実にラインが美しい。図面を書き始めると、寝食もそこそこに誰も寄せ付けないほど没頭したという喜一郎氏の生きざまが伝わってくる。

車両展示コーナーの入り口には、700に及ぶ車種について、発売から歴代改良モデルの投入時期などを家系図のようにまとめた「車両系統図」がパネル展示されている。トヨタのホームページで公開中の「75年史」でもこの系統図は閲覧できるが、8枚のパネルによる一括展示には、75年の蓄積による格別な重さがある。

古い記憶を呼び戻すクルマの不思議なパワー

車両では1955年に、純国産車として登場した初代の『トヨペットクラウン』をはじめとするクラウン、さらに『カローラ』というトヨタの発展を支えた2枚看板の歴代モデルが実車で揃っている。2代目クラウン(1963年発売)は、高校生の時に運転免許を取得するため、教習所で乗っていた懐かしい1台。当時のレッスン料や最初の試験に落ちたことが、鮮明によみがえってきた。

独特なフロントマスクをもち、「アローライン」と呼ばれた車体デザインや走行性能で人気を得た3代目『トヨペットコロナ』(64年発売)も高校時代の思い出のクルマだ。恩師が、まだ少数派だったマイカー族として、本当に楽しそうに通学に使われていた。

1台1台のクルマがタイムスリップの世界に導き、その時代の記憶のヒダを開くような不思議なパワーをもっているという感じだ。それは博物館という演出された空間だからこそ味わえるような気もする。トヨタ車が好きな人にも、そうでない人にも、かつて保有した人にも、そうでない人にも、お勧めしたい展示イベントだ。

《池原照雄》

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