【スバル フォレスター 試乗】今期ウインターシーズン最新最強の本格SUV…青山尚暉

試乗記 国産車
スバル フォレスター
スバル フォレスター 全 21 枚 拡大写真

先代よりさらにSUV色を強めた4代目『フォレスター』は、オンオフの走行性能が飛躍的に向上した。

北米市場の販売比率約40%というフォレスターだが、国内市場にもしっかり目が向いている。その証拠がボディーサイズ。先代比で全長+35mm、全高+15mmの拡大にとどまり、全幅は多くの国産ミッドサイズSUVよりむしろナローな1795mmに抑えられている。

パッケージングの肝はSUVらしさと広々感の両立。まずSUVらしさについてだが、ヒップポイントを前席で32mm、後席で36mm高め、アイポイントは+34mm。結果、ボンネットフードの見下げ角が増し、SUVの機能として不可欠な前方直下の視界、見切りが良くなっているのが特徴だ。

広々感という面ではインパネに奥行きを与え、ショルダールーム左右方向、運転席&助手席間距離を拡大。後席居住空間は身長172cmのドライバー基準で頭上方向は先代同等だが、ひざ回り空間は約50mm増しのクラス最大の約250mm!! もあるからゆったりだ。

さらにうれしいのは、ヒップポイントとサイドシル外側との距離を30mm縮め乗降性に配慮するとともに、新たにドアをサイドシルにかぶせる構造として、雨の中や悪路を走っても内側のサイドシルが汚れず、乗降時にスカートやズボンが汚れにくくなったこと。

標準エンジンでJC08モード燃費14.4km/リットル、アイドリングストップ付きで15.2km/リットルというクラストップレベルの燃費性能を実現したNAモデルの走りは想像以上の仕上がりだった。

出足からの加速感はSIドライブをI(インテリジェント)モードに入れていても車重を感じさず軽快。フラット4は素晴らしく滑らかにほぼ無振動で回り、レスポンス良く、たとえ登坂路でもトルキーに前に出る。アクセルの踏み方によってずっと排気量が大きいエンジンを思わせるおおらかな回転フィールもSUVとしては好ましいキャラクターだろう。パワステは先代よりずっとスムーズかつしっかりしたフィールを示し、あらゆるシーンで安心感を与えてくれる設定だ。

さらに素晴らしいのは乗り心地。開発の基準となった18インチタイヤ装着車でもしっとりしなやかで、マンホールやキャッツアイ、突起の乗り越えを夢のようにスムーズにこなしてくれる。いつもの道がまるで再舗装されたかのようだ。カーブやレーンチェンジでの車体のリニアな動き、姿勢変化の少なさも文句なしである。SIドライブをS(スポーツ)モードに入れれば山道を爽快に駆け抜けられる加速感、フットワークが際立ってくる。しかも、全域で静か。走りの洗練度は先代の150%増しと言ってもいいぐらいである。

と、ここまではオンロードの報告だが、新型フォレスターは極悪路でも素晴らしく頼もしい。新搭載されたX MODEはスイッチをONにするだけで例えば国産SUVであればランクルのような本格SUVでしか踏み込めない約30度こう配のジャリ坂をいとも簡単に登り、下る、強力な走破性を披露する。もちろん、雪道でも絶大なる安心感を与えてくれるから、2012-13年ウインターシーズン最新最強のゲレンデエクスプレスと呼んでもいいだろう。

そうそう、新型フォレスターには理想的な後席用ペットシートマットが用意されている。従来品は前後ヘッドレストで固定し、後席上面を覆うだけのハンモック形状。ゆえにドア内張りが抜け毛やヨダレで汚れ、乗降時にはシートサイドが汚れ、サイドシルにつめ跡が残ったりした。

新タイプはジッパーによって中央6:4の2分割(3名乗車可能)で、ドア内張りまで覆ってくれるサイド部分を含む4分割形状。サイド部分は降車時の愛犬の飛び出し防止にもなり、乗降時に外側に垂らすとシートサイド、サイドシルのプロテクターにもなる。

さらにカバー中央前部にはメッシュ状ののぞき窓があり、前席の乗員と後席に乗った愛犬とのアイコンタクトもしやすいから安心安全、そして完ぺきだ。価格は1万9950円。もっとも、後席の地上高は先代より36mm高くなってはいるのだが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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