国土交通省の運輸安全委員会は、高松空港に緊急着陸して重大インシデントに認定した全日本空輸(ANA)が運航するボーイング787型機について今後、再現試験などを実施する方針を明らかにした。
同委員会は、途中の調査結果によると、発火の原因については依然不明で、今後、バッテリーセルの分析調査やバッテリーシステムの組み合わせ試験、再現実験などを実施して原因を解明していく。
ANAが運航する787型機は飛行中、メインバッテリーからの煙を感知して緊急着陸した。同委員会では、バッテリーを中心に発火原因などを詳しく調査している。
これまでの調査で、8個のセルで構成するバッテリーは、全てのセルが損傷しており、特にセル3とセル6の損傷がひどい。セル3はプラス電極の損傷が大きく、高温になって損傷したと見られるものの、損傷した原因は不明で、引き続き調査を進める。
また、セル4とセル5を除く正極集電体が溶断していることを明らかにした。集電体に大きな電流が流れ、セル内で熱暴走が発生、正極集電体が過熱し、材料であるアルミニウムが溶けるほどの高温になり、溶断したと指摘している。
更にバッテリー外箱のアース線が溶断していたが、外箱に電流が流れて溶断した可能性を指摘する。
一方、DFDR(デジタル飛行データ記録装置)の記録調査によると、バッテリー電圧は操縦室で異臭を感じた頃、約10秒間で31ボルトから11ボルトまで低下し、その後は上下を繰り返して最終的には10ボルトとなった。電圧が低下した後のデータは、外部の機器が接続されていることから、引き続き分析する。