【三菱 アウトランダー PHEV 試乗】地震大国日本で最強の安心保険となる?…青山尚暉

試乗記 国産車
アウトランダーPHEV
アウトランダーPHEV 全 20 枚 拡大写真

SUVとして世界初のプラグインHVが『アウトランダーPHEV』である。

【画像全20枚】

PHVはすでにHVのプリウスに外部充電機能を持たし、EV走行領域を広げた『プリウスPHV』が存在するが、根本的に異なる。プリウスPHVはエンジンありき。しかしアウトランダーPHEVは『i-MiEV』で実用EVを世に送り出した三菱自動車の強みを生かしたEVを基本とするクルマなのである。ボディサイドの「PLUG-IN HYBRID EV」のエンブレムがその何よりもの証である。簡単に言えば発電機付きEVであり、純粋なEVのように、走りだした瞬間から電欠におびえる・・・なんていうストレスとは無縁だ。

システムは床下に配置される、『i-MiEV』の10~16kwhに対して12kwhのバッテリーとアウトランダーらしいツインモーター(フロント60kw、リヤ60kw)4WDを構成する2つのモーター、そして2リットルエンジン。肝は日常域では中距離の高速巡行を含めほぼEVで走行できる点。エンジンはほぼ使わないか、充電用として機能する。

大容量バッテリーを積むためEV走行可能距離はJC08モード燃費で60.2km/リットルと、『プリウスPHV』の26.4km/リットルを大幅に上回る。『プリウスPHV』の満充電時の実質EV走行距離は約20km。『アウトランダー PHEV』は実質約45km/リットルと推測され、自宅に充電設備アリが前提だが、家の近所の買い物、送り迎えのシーンでは巨大でSUVのカタチをした『i-MiEV』となりえる!?

そしてすごいのはガソリン車の『アウトランダー』より270kg前後重くなったボディーを、まるで新幹線のように伸びやかに静かに加速させてくれると同時に、バッテリー残量がギリギリまで減ってもEV走行を粘り強く行い、さらに120km/h+の高速EV走行まで余裕でこなせるところ。

『アウトランダー』のようなSUVはアウトドアシーンで使われることも多いが、目的地の空気のおいしい場所でエンジンをなるべく始動させないための、そこに向かう途中、あらかじめ充電した電力の消費を抑える「バッテリーセーブモード」や、停車中、走行中を問わずエンジンを作動させて強制的に駆動用バッテリーを充電させる「バッテリーチャージモード」まであるからシステムの使い方は自在。パドルシフトはモーターを発電機として働かせる回生ブレーキ機能に使われ、B0~B6の6段階で回生ブレーキ機能の強弱をドライバーの意志で変化させられる。それを山道などでブレーキ代わりに使い、積極的な走りを楽しみやすい点も新鮮だ。

オプションで装着できる100V/1500Wコンセント(84000円)によって車内外で家庭用電化製品が使えるのはもちろん、いざという時には、満充電&ガソリン満タン状態なら一般家庭の消費電力基準で約10日分の電力供給が可能というから頼もしい(車載コンセントは車内2カ所。最新の『プリウスPHV』のように充電口からの供給は不可)。

そんな『アウトランダーPHEV』を走らせれば、ドライブフィールはガソリン車とは別物だった。重量物のバッテリーが車体中心の床下に配置されているため重心が下がり、ほぼ前後のモーターを動力として走る強力なEV感覚によって、加速のウルトラスムーズさ、乗り心地の良さ、上質感、静粛性で比較にならない。操縦性にしてもよりリニアな印象で、ガソリン車で気になる電動パワステの違和感も解消されている。輸入SUVと対等に戦える大人のSUV・・・そんなイメージだ。

『アウトランダーPHEV』と『アウトランダー』の価格差は人気のナビパッケージ基準で87万8000円。それだけ見ると割高に感じるが、最大43万円の補助金もあるから実質的な価格差は縮まる。それより、地震大国日本でこれだけ安心保険的なクルマはほかにないと思える。何しろ電気・ガソリンの両刀使いのPHEV+悪路にもめっぽう強い4WDなのだから。3.11の液状化による被災地に住むボクとしては特にそう感じずにはいられない。

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

《青山尚暉》

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