日産自動車は3月12日、ピラーなど複雑な形状でも加工できる1.2GPa級高成形性超ハイテン材を開発し、今夏発売予定の『インフィニティQ50』から順次採用を始めると発表した。
開発を担当した要素技術開発本部車体技術開発部の鈴木伸典部長は「例えばアウディはアルミ、BMWはカーボンを使った車体を造っているが、スチールはまだまだやり切る余地があって、そこは日産としてはぜったい外せない。そこを軽くしないで次のステップというのは、おかしいだろうという思いから、スチールを極めた」と強調する。
1.2GPa級超ハイテン材は日産と新日鉄住金、神戸製鋼所と共同開発したもの。さらに成形解析精度の向上およびスポット溶接条件の最適化で、既存の設備でのプレス、溶接を可能にした。これにより鋼材使用量を減らし、台あたりの生産コストも下げることができるとしている。
鈴木部長は「ヨーロッパメーカーもスチールでここまでできるとは多分思っていなかっただろう」とした上で、「だからホットスタンプなど違った工法にいったように私から見えるが、まだホットにしなくても、コールドのスタンプでやり切れる余地があった」と指摘。
さらに「日産が一番そういう意識をもって開発していると思う。なので一番乗りでこの材料にゴールできた」と胸を張った。