【スマート フォーツー カブリオ ターボ 試乗】ターボによる余裕の走りとさわやかなオープンエア…松下宏

試乗記 輸入車
スマート フォーツー カブリオ
スマート フォーツー カブリオ 全 13 枚 拡大写真

ダイムラーのコンパクトカー専用ブランドであるスマートは、かつて4人乗りを設定していた時代もあったが、今は2人乗りの『フォーツー』だけが販売されている。現行モデルは2代目で、2007年にデビューし、2012年に外観デザインの変更など大幅な改良を受けた。

今回試乗した『フォーツー カブリオ』は、さわやかなオープンエアの走りによってスマートの個性を際立たせるモデルである。3mを切る極めて短い全長とやや高めの全高を持つ独特のパッケージングを基本に、極めて個性的な外観デザインを備えている。これはかつてスウォッチと提携していた時代から変わらない。カジュアルな感覚にあふれたインテリアも同様に個性的だ。

スマートは街乗りに特化したクルマだが、同じフォーツーでもカブリオはクーペと違ってターボ仕様のエンジンだけを搭載する。直列3気筒1.0リッターのターボ仕様エンジンが発生する62kW/120N・mのパワー&トルクは、自然吸気エンジンとは明確に異なる走りの実力を持つ。

カブリオのボディははクーペに対して20~30kgしか重くなっていないので、動力性能の違いがそのまま走りの余裕につながっている感じだ。軽くアクセルを踏み込むだけで低回転域からターボ特有の太いトルクを発生するから、タウンユースではアクセルを強く踏み込む必要がない。

電子制御5速のセミATはATとマニュアルの切り換えが可能。自動変速に任せることもできるし、レバーを前後に操作して自分で変速させることもできる。変速時にトルク抜けの症状が出るので、多少ギクシャクした走りになるのは避けられない。でも、ターボ車はアクセルの踏み込み量が少ない分だけギクシャク感が緩和される印象である。

足回りはけっこう硬くて乗り心地は良くない。ホイールベースが短いので縦揺れが大きくなりがちだし、小さなボディに高めの全高なので操縦安定性を確保するために足回りを固めているからだ。電子制御パワーステアリングの操舵感覚も普通のクルマとは少し違ったものになる。

小さなボディである割には最小回転半径が大きめ(といってもたったの4.2mだが)であることも含め、スマートの走りにはいろいろとクセがあるのだが、慣れてくるとそれをうまくコントロールできるようになり、走らせるのが楽しくなる。

カブリオでは、幌タイプの電動ルーフをオープンにして走ったときの心地良さがポイントである。このルーフは標準状態のほか、サンルーフのように真上部分だけを開けることも、後方まで全部開けることもできる。

3種類の使い方ができるのだが、ルーフを全部開けると折り畳んだ幌が重なって後方視界を妨げる。これはもうひと工夫が欲しい。

ダイムラー傘下のブランドらしく、独特のボディ構造を採用することで、小さなボディにも高い安全性を確保している。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 日産が新型ミニバン『タウンスター・エバリア』を欧州発表…EVも設定
  2. 三菱『デリカD:5』ついにフルモデルチェンジへ! 車名は「D:6」!? 2025年内発表か
  3. 高速道路料金も「変動制」導入、来年度から全国的に順次拡大[新聞ウォッチ]
  4. [VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
  5. ちょっと待った! 自動車税の支払い…キャンペーンやポイントがつく支払い方法で
  6. メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
  7. マフラー選びの決め手、『合法性と性能の両立』が求められる~カスタムHOW TO~
  8. トヨタ『カムリ』新型...ベストセラーはどこが新しくなったか?[詳細画像]
  9. ポルシェの売上高と営業利益、過去最高を達成 2023年通期決算
  10. トヨタ『4ランナー』新型...最新技術と高い耐久性の両立[詳細画像]
ランキングをもっと見る