「きぼう」日本実験棟で高性能半導体開発に向けた基礎データ取得の実験を開始

宇宙 科学
SiGe結晶の外観
SiGe結晶の外観 全 1 枚 拡大写真

国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟で、温度勾配炉(GHF)を使用した「微小重力下におけるTLZ法による均一組成SiGe結晶育成の研究」(Hicari実験)を開始した。

Hicariは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した結晶成長方法であるTLZ法(トラベリング・リキダス・ゾーン・メソッド)を宇宙実験に用い、有効性を実証するとともに、高性能半導体開発の基礎データを取得することを目的に実験する。

実験に使用される実験試料カートリッジは「こうのとり」2号機でISSに運ばれた。同じく「こうのとり」2号機で運ばれた温度勾配炉(GHF)の動作確認を終了した後、宇宙飛行士により実験試料カートリッジがセットされ、実験の実施に問題ないことが確認された後、結晶成長実験を開始した。

実験では、円柱状のシリコン・ゲルマニウム(SiGe)を温度勾配をかけて加熱し、帯状に溶かす。この際、温度勾配炉のヒーターを、結晶成長の速さと同じ速さで動かすことで、結晶成長面の濃度を常に一定にし、規則正しい原子配列の結晶を生成する。

実験は4回にわけて実施する。最初に5日間程で実験する。ここで得られたサンプルを地上に持ち帰り、組成を解析し、今後の実験条件の検討・調整を行った後、今年の夏以降に3回の実験を行う。

得られたデータは、種々の結晶育成に適用され、それを基に地上で製造された高品質結晶は、光通信機器や産業機器の低電力化など、半導体産業や光通信技術への貢献を期待している。

《レスポンス編集部》

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