【ATTT13】GARMIN、3年間地図更新無料PNDで日本市場に挑む…アジア担当ディレクター

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GARMIN アジア地区ディレクター トニー・アン氏
GARMIN アジア地区ディレクター トニー・アン氏 全 8 枚 拡大写真

東京ビッグサイトで開催されている国際自動車通信技術展(ATTT)では3月14日、世界トップシェアをもつPNDメーカー「GARMIN」からアジア地区ディレクターの要職にあるトニー・アン氏が講演をおこなった。講演に先立ち、アン氏に日本市場への取り組みについて話を聞いた。

◆PNDで4年連続シェアトップ、GPS搭載フィットネス機器でも圧倒的な強さ

----:まず、世界ナンバーワンであるGARMINの位置付けからお伺いしたいと思います。

アン:GARMINは4年連続にわたって、PNDで世界ナンバーワンを獲得してきました。世界シェアはおよそ40%ぐらいで、アメリカは最も高くて約70%ほど。ヨーロッパでもTomTomに次いでシェア第2位を獲得しています。日本ではカーナビ界の“先輩”達が数多くいるので、GARMINは後ろから追い上げる立場ですが、GARMINはフィットネスや登山といったアウトドア分野でナンバーワンを獲得しています。あくまでGPS機能を伴った機器という条件付きですが、アウトドアで80%ほど、フィットネスで50%のシェアを持っております。

----:カーナビとアウトドア系機器の比率はどのぐらいですか?

アン:GARMINはGPSのメーカーとして23年の実績を積んできました。その中で伸びシロが大きいのはアウトドア系の製品だと思っています。ただ、カーナビもしっかりとシェアが獲得できるよう手を尽くしていくつもりです。

◆日本のパートナーとの協業により日本独自仕様を積極的に盛り込む

----:カーナビにおける日本市場は特殊性、顧客の要求度が高いと言われていますが、世界へ向けた製品展開に対して、その経験が活かされていることはあるんでしょうか。

アン:地域によって機器の使い方や要求は違いますので、専門の部署が日々使い勝手とか操作性かを検証し、その上で日本人の行動を分析して対応しています。日本語のインターフェイスを用意するのはもちろんですが、日本向けの仕様変更については代理店である「いいよねっと」を通じて情報を得ています。

----:具体的にはどんなものがありますか?

E:ワンセグチューナーの搭載や、VICSへの対応はどの代表例です。日本が打ち上げた準天頂衛星「みちびき」には、他のメーカーに先駆けPNDで最も早く対応しました。これらの仕様変更については、いいよねっとからの情報がもっとも大切でした。彼らは単なる代理店ではなく、製品開発をする上での大切なパートナーです。

----:日本で販売されているポータブル型ナビには測位精度を向上させるためにジャイロセンサーを搭載していますが、これにGARMINとしては今後どう対応されていきますか?

アン:まずGPSそのものの精度を高める技術として「みちびき」への対応がひとつのの答えですが、今後は(GARMIN製カーナビにも)ジャイロセンサーなどの搭載を積極的に行っていきたいと考えています。

◆OEMはカスタマーに応じて柔軟に対応

----:先日日本で発売されたクライスラー『300』にはビルトイン型純正ナビにGARMIN製が採用されていましたが、ここにはジャイロセンサーは搭載せず、GPS+車速パルスの組み合わせで測位していました。

アン:その製品は完全OEM商品ですので、その相手顧客の要望に応じてきめ細かく応えていくことにしています。GARMINとしてはケースバイケースでジャイロセンサーや車速パルスへの対応を果たしていくことにしています。ジャイロセンサーを組み合わせた車種もOEMでありますし、今回のクライスラー300では車速パルスの追加しか要望されなかったということだと思います。

----:GARMINが採用しているメニュー等のインターフェイスは、日本の他のカーナビとはちょっとスタイルが違います。これは全世界共通で採用されているものなんでしょうか?

アン:今はグローバルスタンダードとしてのインターフェイスを持っていますが、バージョンアップしていく中で日本仕様は顧客の要望を取り入れながら、変化していく必要があると思っています。その結果、欧米仕様とは若干違ったものになる可能性もあります。

◆スマートフォン連携も積極的に

----:近日発売予定とされる7型モデル「nuvi 2795」にスマホ連携機能を搭載しましたが、この機能は海外仕様モデルでも採用されているものでしょうか。

アン:スマホ連携は日本だけでなくグローバルで対応しています。海外でもスマホの普及率は目覚ましいものがあり、それを活かすことで、たとえばスマホを経由していろいろなPOI(地点情報)を取得することは可能になっています。Googleを使ってみたり、それ以外に指定したエリアの天気予報を取得したり、それをGARMIN製カーナビに反映することができるのです。日本で販売されているポータブル型ナビで、スマホ連携を実現しているのはGARMINのみです。

----:では、欧米で展開されているスマホ用ナビアプリは、日本で展開される予定はあるのですか?

アン:現段階では日本市場で導入すべきかどうか、市場を読み切れておらず、展開するまでには至っておりません。

◆地図3年と更新無料と市街図追加で商品力を強化

----:GARMIN製品の魅力は、単にハードウェアだけでなくて「GARMIN CONNECT」のようなSNSの要素を持たせたクラウドサービスとの連携で顧客の囲い込みに成功していると思いますが、こうしたサービス展開は当初から視野に入れていたものなのでしょうか。

アン:GARMINとしてもっとも力を入れるのはフィットネスですが、一緒に汗をかいているトレーナーとかとの間で情報を共有したいと思う気持ちはあると思います。たとえば、機能どこを走ってみたのかなどをより多くのことをネット上にアップし、共有してグループを作ってみたい。それがGARMINとして最初の発想です。今は既に315万人の会員がおり、月に10万人ほど増えています。フィットネスの分野ではもっとも規模の大きいネットワークになっていると思います。

----:今回発表された新製品群「nuvi 2795」「nuvi 2595V」「nuvi 2592」でGARMIN製カーナビの地図をゼンリン製から昭文社製に切り替えたわけですが、その理由を教えて下さい。

アン:採用のポイントは3点あります。「3年間無料の地図更新」、次に「市街図のサポート」そして「タウンマップ観光ガイドの収録」。特に地図更新を保証する点については重視しました。メーカーとしても新しい地図を提供すること製品の魅力につながると考えており、その責任を果たす必要があります。世界で評価いただいているユーザーインタフェースと日本仕様ならではの特徴も織り交ぜて、国内市場でのシェアアップに挑みたいと考えています。

《会田肇》

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