【アテンザ開発者への10の質問】Q.1 開発主査が考える"SKYACTIV"とは何か?

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マツダ アテンザ 梶山浩開発主査
マツダ アテンザ 梶山浩開発主査 全 18 枚 拡大写真

2012年11月、マツダが販売を開始した新型『アテンザ』。3月3日現在での受注台数は当初の予定を大幅に上回る1万2000台超と、上々の立ち上がりを見せている。

【画像全18枚】

同社の新世代技術"SKYACTIV TECHNOLOGY"をフルに採用した新世界戦略車である新型アテンザはどのようにして生まれたのか。それを明らかにするため、アテンザ開発陣に「10の質問」を行った。

Q.1 開発陣にとって "SKYACTIV"とは何だったのか?
A. もはや"宗教"みたいなものだった。

そもそも"SKYACTIV TECHNOLOGY"とは、マツダが2010年に発表した、エンジンやトランスミッション、シャシーなど、クルマの基礎となる部分における新世代技術の総称である。2011年に『デミオ』で部分的に採用され、2012年に『CX-5』で完全採用された。新型アテンザは、CX-5に続き、SKYACTIV TECHNOLOGYが完全採用された、いわゆる"フルスカイアクティブ"車の第二弾だ。

しかし、"SKYACTIV"という響きは新型アテンザの開発陣にとって、それ以上の意味を持っているようだ。新型アテンザ開発主査の梶山浩氏は次のように語る。

「"SKYACTIV "は、私たちにとって目標です。もう宗教みたいなものでした。例えば、燃費や走りの性能達成が難しいと思えると、つい小手先の調整で誤魔化そうとしますよね。すると上司から怒鳴られるわけですよ。「何をしてるんだ、君は!もう一回SKYACTIVを勉強してこい!!」という感じで。そしたら、そこからまたやり直しです」

SKYACTIV TECHNOLOGYは、クルマの基本性能を高めるマツダの基盤技術。つまり、エンジンの燃焼効率、トランスミッションの伝達効率、さらにシャーシの剛性向上や軽量化に役立つ設計理論であるとされているが、現場の開発者たちにとっては、もはや宗教に近い感覚だと言う。SKYACTIV TECHNOLOGYの各技術を高めて、目標性能を達成することを課せられているエンジニアにとって、SKYACTIV TECHNOLOGYは武器であり、試練でもあったのだ。

◆開発時に重視したのは「3つだけ」

それなら、SKYACTIV TECHNOLOGYを用いて新型アテンザを開発するにあたり、重視した要素は何だったのだろうか。

「アテンザを開発するにあたって大切にしたいと思った要素は、エクステリアとインテリアのデザイン、あとは走りの3つだけですね。(アテンザの属する)C/Dセグメントは、ドイツ車を中心に強豪ライバルばかりが集まる市場だと思うんです。初代のアテンザは成功作となったんですが、2代目は残念ながら市場の中で埋もれた存在になってしまいました。その失敗の原因を考えたら、やはりクルマに明確なキャラクターが不足していたな、と。じゃあ、次のアテンザではどうするべきか、延々と考え続けたんです。それまではマスマーケティングに基づいた開発を行なっていたんですが、それをやるとC/Dセグメントの平均的なクルマが出来上がってしまう。そこでもう、こういうやり方は止めようと決めました」

◆気に入った人にだけとことん惚れ込んでもらうクルマ作り

梶山氏が新型アテンザの開発主査に任命されたのが2008年初め。しかし半年間は悩み、考え続けたと言う。そうしているうちに、ある方法にたどり着いた。

「世界で5人のお客さんを選んだんです。この人にはずっとマツダに乗っていて欲しい、という人たちです。そして彼らの1週間の生活を観察させてもらいました。それを分析して彼らの価値観を浮き彫りにしたんです。彼らが欲しいクルマさえ作ればいいと。極端な話、この5人だけが新型アテンザを買ってくれればいいんだ、と割り切りました。結局、彼らが大事にしているのは、エクステリアとインテリアのデザイン、そして走り、この3点だけでした。ここを押さえれば新型アテンザに乗ってくれる、満足してくれると考えたんです。荷室容量とか、細かい装備の違いなんてどうでもいいんです。それでは満足感は得られませんから」

マスマーケティングを吹っ飛ばし、気に入った人にだけとことん惚れ込んでもらう。そんなクルマ作りを目指したと言う。そうして新型アテンザの開発は本格的な始動を迎えたのだ。

マツダらしさを最も表現するべきフラッグシップとして、2008年半ばから新型アテンザの開発が始まった。そこから梶山氏がブレることはなかった。開発陣、そして上司などの人間関係にも恵まれ、開発は続けられていく。とは言え、新型アテンザの開発は決して順調に進んだと言えるものではなかった。日本初のエコなスポーツセダン&ワゴンが生み出されるまでには、想像を超える紆余曲折があった。

《高根英幸》

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