【アテンザ開発者への10の質問】Q.3 "SKYACTIV-G"を選ぶ理由はあるか?

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マツダ アテンザ
マツダ アテンザ 全 12 枚 拡大写真

2012年11月、マツダが販売を開始した新型『アテンザ』。3月3日現在での受注台数は当初の予定を大幅に上回る1万2000台超と、上々の立ち上がりを見せている。

同社の新世代技術"SKYACTIV TECHNOLOGY"をフルに採用した新世界戦略車である新型アテンザはどのようにして生まれたのか。それを明らかにするため、アテンザ開発陣に「10の質問」を行った。

Q.3 "SKYACTIV-G"を選ぶ理由はあるか?
A. スポーティなフィールを重視する人、それほど走行距離が多くないユーザーにはガソリンエンジンを選ぶ方がメリットは大きい。

SKYACTIV TECHNOLOGYのハイライトとも言えるのが、SKYACTIV-Dと呼ばれるクリーンディーゼルエンジンである。クリーンディーゼルばかりに注目が集まる中で、SKYACTIV-Gを選ぶ理由はあるのか。新型アテンザ開発主査の梶山浩氏に聞いた。

◆アテンザ独自仕様に仕立て上げられた2LのSKYACTIV-G

2Lのガソリンエンジン、SKYACTIV-Gに関しては、すでに『アクセラ』、『CX-5』に搭載されているものと同じだと思って良いのだろうか。

「そうですね、2Lのガソリンについては、4-2-1排気システムを搭載しているCX-5と同じものです。ただ車体の大きさ、重さや使われ方が異なるので制御の部分で微妙にチューニングを変えています」

ATのシフトプログラムと連係させた電子制御スロットルの動きなど、協調制御の部分でアテンザ独自の仕様が盛り込まれていると言う。ということはSKYACTIV-Gについては2.5リッターのガソリンエンジンが、今回登場した新エンジンということになる。しかし装備面ではディーゼルの2.2Lと同等、価格で見ればディーゼルの方が上級車という印象も受ける。排気量や静粛性などの高級感で優れるガソリン2.5Lを最上級車にすべき、という意見はなかったのだろうか。

◆議論のあった2.5LのSKYACTIV-G

「いいえ、それはなかったですね。むしろ2.5のガソリンを日本国内で用意する必要があるか、という議論はありました。というのも販売の現場ではエンジンの種類が増えるほど、説明が煩雑になって魅力を伝えにくいという意見もあって、むしろエンジンは2種類にまとめたい、という意向だったんです。それでも、このC/Dセグメントのユーザーにディーゼルがどこまで受け入れられるか読み切れなかった部分もあったので、絶対的に排気量の大きい2.5Lガソリンを残しました」

実際に販売を開始してみると、予想以上にSKYACTIV-Dの需要は高く、現在の人気ぶりを実現できたそうだ。ならばユーザーがガソリン車を選ぶメリット、ガソリンならではの優位性はどこにあるのだろう。

◆低回転域での扱いやすさと高回転域の伸びやかさがSKYACTIV-Gの魅力

「スポーティなフィールを重視する人、それほど走行距離が多くないユーザーにはガソリンエンジンを選ぶ方がメリットは大きいのではないかと思います。それと市街地でもディーゼルの高トルクは逆にコントロールが難しい、と感じる人もいますよね」

低回転域での扱いやすさと高回転域の伸びやかさ、そして導入コストの低さがガソリンの魅力だと言う。一方で走行距離が多いユーザー、燃費を気にせずに走り回りたいドライバーにはディーゼルがお勧めだと語る。

「SKYACTIV-Dの燃費性能は、走るユーザーには魅力だと思いますね。燃費性能に関しても、当初はCO2排出量を109g/kmに押さえれば欧州でも勝てると想定していたんですが、開発中にライバル車たちもどんどん燃費性能を向上させてきたので、頑張ってもう一歩レベルを引き上げました」

104g/kmという数値は文句なくC/Dセグメントではトップクラスの省燃費ぶりである。それだけでなく、優れた静粛性もSKYACTIV-Dの魅力だ。

「SKYACTIV-Dの場合は、圧縮比を14にできたことが、すべてに効いているんです。それによってエンジン自体が発する音がスムーズになりましたし、無駄な爆発音が出てこない。だからシリンダーブロックの肉厚を下げることができたし、パーツも軽量化できたのでスムーズに吹け上がる上に、音も静かになったんです」

トルク感だけでなく回転フィールでも走りが楽しめるクリーンディーゼルは、SKYACTIV TECHNOLOGYだからこそ作り上げられたのだった。

《高根英幸》

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