【マツダ アテンザXD 試乗】 悪天候下のロングドライブで実感、アテンザの真価…青山尚暉

試乗記 国産車
【マツダ アテンザXD 試乗】 悪天候下のロングドライブで実感、アテンザの真価…青山尚暉
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新型『アテンザ』で鹿児島空港を起点に宮崎を経由し、鹿児島・指宿までの往路復路約340kmを走破した。

往路の約225kmはワゴンXD Lパッケージ。つまり19インチタイヤ装着車である。

ここであらためて新型『アテンザ』の意外な面を報告すれば、セダンとワゴンとでは、ホイールベース、全長が異なる点に注目だ。普通、ワゴンのほうが長そうに感じるが、答えは逆。セダンは全長4860×全幅1840×全高1450mm。ホイールベース2830mm。全長、全幅はレクサス『GS』並みとデカく長い。

一方、ワゴンは全長4800×全幅1840×全高1480mm。ホイールベース2750mmとやや短い。

セダンはマツダのフラッグシップ。ワゴンはややカジュアル…というすみ分けということか。

で、話を鹿児島試乗に戻そう。初日はあいにくの雨。いや、時に豪雨。しかも山道では霧も深かった。しかしである。となりに相棒が乗っているにもかかわらず、ボクはステアリングをひとときも渡さなかったのだ。それが新型アテンザの魅力を端的に物語っていたと思う。

ワゴンXD(クロスディー)に積まれた2.2リットルのクリーンディーゼルユニットは、車内にいる限り恐ろしく静かだ(ガソリン2.5リットルモデルよりも!)。このあたりはクリーンディーゼルありきのボディーがものを言う。後から追加した車種とはわけが違うのだ。

動力性能はと言えば、42.8kg-mもの強大な最大トルクを持つだけに低回転域から豊潤なトルクがわき出るため、姿勢制御を含むアクセルコントロール性に富み、また回しても想定外にスムーズで不快な振動、騒音は皆無に近い。

そして乗り心地にしても19インチという大径タイヤを履いていながらほとんどの場面で快適至極だった。

ミニバンの『プレマシー』から始まった”Gのつながり”へのこだわりはさらに進化し、操縦性は過敏すぎず気持ちよくスムーズそのもの。あらゆるシーンで肩の力を抜いていられる。ドライ、ウェット路面の安定感の高さもその理由。

だから見知らぬ土地で市街地、高速道路、箱根ターンパイクを思わせる山道をハイペースで走り続けても、悪天候下でも疲れない。いや、もっとずっと走っていたい気持ちにさせてくれたのだ。くり返すけれど、運転席から離れがたく、往路約225kmをストレスフリーで駆け抜けることができた。

そのドライブフィールは余韻が残る、体に染み渡るイメージ。こんな日本車、めったにない。

ところで新型『アテンザ』のパッケージはやはりデザイン優先…という見方もできる。全長からすれば、身長172cmのボクのドラポジ基準で後席ひざ回り空間約190mmは格別に広いとは言えない(『レガシイツーリングワゴン』275mm)。荷室奥行きにしても1110mmは先代同等。全長4790mmでしかない(ホイールベースはまったく同じ2750mm)レガシイツーリングワゴン(1125mm)とも同等だ。「先代より幅方向がやや狭くなった」という先代オーナーの声もあったりする。

が、そんなことは本質ではない。今回の鹿児島ロングドライブの経験から言えば、ステアリングを離しがたい、運転席から降りがたい気持ちになれた走りの奥深さこそ、新型アテンザの狙い所、素晴らしさ、本質だと思える。サイズ的に(特にセダン)大きすぎる指摘もあるが、それは各ユーザーの感覚、使い方によって判断すべきこと。一概にどうこうとはここでは言わないでおこう(オススメ度が満点でない理由だが)。

ちなみに新型『アテンザ』のワゴンは文句なくペットフレンドリーである。荷室は開口地上高630mmと低めで開口部の段差が小さいため(約35mm)中大型犬の乗り降りは楽々。フロアは幅1020~1540mm、奥行き1110mm。後席格納時フロア長1800mmと、大型犬や大型クレート乗せるにも適している。後席を格納した状態で荷室部分にも冷風が届くであろう後席エアコン吹き出し口も完備される。クリーンディーゼルの足の長さ(経済性)、意外なほどの静かさ、乗り心地の良さは、愛犬とのロングドライブの機会を増やしてくれそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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