【プジョー5008 試乗】生活臭薄いハイライフ・ハイスタイル向け7シーター…青山尚暉

試乗記 輸入車
プジョー5008(英国仕様)
プジョー5008(英国仕様) 全 7 枚 拡大写真

ミニバンブームが落ち着いた。国産ミニバンの主役は手ごろな価格、サイズにして室内広大かつ使いやすさ抜群な『セレナ』に代表されるMクラスボックス型だ。

ただし、TVCFをみても明らかなように、いかにも子育て世代向けのママズカー的雰囲気は免れない。そんな中、人とは違う生活臭薄い多人数乗用車を求める人たちに注目されているのが輸入ミニバンだ。

その最新の1台が、本国の発売から3年ほど遅れて日本に導入されたプジョー『5008』。全長こそ『ストリーム』より短いものの、全幅は『ヴェルファイア』、全高は『エクシーガ』と同じショーティー&ワイド&ローなプロポーション、フランス車らしいモダンなスタイリング、この車幅にしてヒンジ式ドア…などが主な特徴だ。

乗用定員は7人。シートは2-3-2座独立タイプだが、後席部分は『308SW』とは違い、取り外すことなく格納アレンジできるから使い勝手の面で大きなアドバンテージになる。たしかに独立して外せるシートは、例えば2列目中央席を外せばキャプテンシート風になり、そのスペースに愛犬を乗せたりすることもできるのだが、いかんせん、脱着は重く面倒で、外したシートの置き場にも困る…。

プラットフォームはシトロエン『C4ピカソ』、156psの1.6リットル直4ターボエンジンはスポーティーカーの『RCZ』譲り(チューニングは異なる)。ミッションはプジョーとして最新のアイシン製第二世代6ATが組み合わされる。

運転席に着座すれば奥行きたっぷりのインパネと巨大なフロントウインドーが広々感、爽快(そうかい)感を演出(インパネ上面の凹は本国仕様のナビ位置)。視界は見晴らし感覚そのもので、いかにもミニバンらしい。惜しいのは着座位置によって出っ張りすぎ!?のフットレストがジャマになりがちなこと。

後席の乗降は車幅が1840mmとワイドで、ヒンジ式ドアの幅が約1050mmもあるため、狭い場所だとドアを全開にしにくいのがつらいところ。2列目席の居心地はシート幅方向の窮屈感を除けば悪くない。シート幅は1脚430mmと狭いものの、掛け心地そのものはしっかり快適だからだ。身長172cmのドライバー基準で頭上に140mm、ひざ回りに190mmのスペースは新型『アテンザワゴン』の後席とまったく同じ。国産Mクラスボックス型ミニバンほどではないが、必要十分である。

ただし、3列目席はほぼ緊急席。座面長370mm、1脚の幅400mmはミニマム。なによりヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)もまた最小限でひざを抱えるような着座姿勢となるからだ。普段は畳んでワゴン感覚で使うのが正解だろう。

走ればBMW共同開発のエンジンは低回転からトルクフルかつスムーズで扱いやすく、ステアフィールもプレミアムグレードの16インチタイヤ装着車なら比較的スッキリ。ミッションの変速ショックのなさ、スムーズな速度上昇感はほとんど国産車に迫るレベルになったと言える。さすがアイシン製の6ATである。

絶妙なストローク感あるフラットな乗り心地、この車高にしてカーブやレーンチェンジでねばりにねばる安定感の高さはさすがプジョー。ロングドライブでも疲れにくそうだ。

一方、17インチタイヤを履く上級装備の「シエロ」は路面によっては乗り心地が硬く、粗く感じられ、下回りがバタつく印象もあった。

ちなみに輸入ミニバンのライバルと目される、ひと回りコンパクトなVW『トゥーラン』とはパワースペック、車重は同等。が、燃費は『5008』がJC08モードで11.7km/リットル、『トゥーラン』は15.0km/リットルと差がつく。『トゥーラン』のミッションが燃費に有利なデュアルクラッチのセミAT=DSGなのがその理由だろう。

ところで、荷室開口部は高さ620mmと本格ワゴン並みに低く、開口部に段差がないため、大型犬などペットを“ワゴン化した”荷室スペースに乗せるにも適している。さらにペット用アクセサリーも充実。中大型犬の飼い主にもうってつけな粋なフレンチ7シーターと言えそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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