【鉄視点】キズだらけの高輪ガードと田町車両センターの”激変前夜”を見る

鉄道 企業動向
田町車両センターの下を走る高輪ガード(地下道)のイメージ(緑線)
田町車両センターの下を走る高輪ガード(地下道)のイメージ(緑線) 全 18 枚 拡大写真

2013年の春は、東横線の副都心線直通化や小田急線の下北沢駅前後の地下化など、首都圏の鉄道に大きなインパクトを与えるトピックが相次いだが、ここで次なる業界の話題を探してみたい。

JR山手線・京浜東北線の田町駅と品川駅の間にある「田町車両センター」。この広大な車両基地の東西を結ぶ唯一の道、「高輪ガード」を歩き、行き来するクルマの“進化”や、同エリアの再開発の“きざし”を見つけた。

東京都港区。海側(芝浦側)の海岸通りエリアと、山側(高輪側)の国道1号(第一京浜)エリアを地下で結ぶ高輪ガード(高輪橋架道橋)は、港区が管理する区道。道幅はクルマ一台ぶんと2m弱の歩道(片側)をあわせたほどで、長さは300m弱。高さはわずか1.5mという“狭小地下道”だ。

車道は山側(第一京浜側)から海側へと抜ける一方通行で、高輪側の地下道入り口には、「ガード下1.5m 路面段差あり 徐行せよ」「降雨時の冠水に注意せよ」といった注意が記されている。

この高輪ガード、“タクシードライバー泣かせの道”としても知られる。その地下道の天井の低さで、タクシーのルーフ上にのる提灯(社名表示灯)を油断して折ってしまうという事例が多発した。

高輪ガードの天井を見ると、タクシーの提灯で削られてできたと見られるキズが、多く走っている。地下道の芝浦側出口の天井は、コンクリートがごっそりと削り落とされている。

こうした“提灯クラッシュ”を防ぐため、タクシー会社大手の東京無線タクシーなどは、同社のシンボルである東京タワーを模した提灯の上部をカットしたタイプを開発。先が尖っていない“高輪仕様”の提灯などが登場した。

「高輪側から海側のソニーなどの企業へ向かうお客さんを乗せるとき、この高輪ガードを通れないと、札の辻陸陸橋などを大きく迂回する必要があった。こうした事情から、提灯の先をカットしたタイプのものをつくったりもした。が、現在は、新車導入時に提灯全体を小さくしたタイプのを載せるようになり、カットしたタイプの提灯は数を減らしている」(東京無線協同組合)

地上の田町車両センターでは、再開発の波が。東京都などの品川駅周辺交通基盤整備計画の策定に向けた資料には、品川駅の北側、海側の新港南橋交差点と、山側の高輪台交差点を結ぶ「環状4号線・東西連絡道路」が、現在の高輪ガード付近には、「第二東西連絡道路」が描かれている。

さらに、現在の高輪ガードの中間点付近に新たに駅が設けられ、さらに車両基地のおよそ半分のレールが撤去され、再開発がすすめられるという。

「周辺の再開発事業と包括的に区道も再整備される予定。高輪ガードの今後についてはまだ公表できない」と港区は話す。

高輪ガードの周辺には、第一京浜「高輪大木戸跡」などの史跡や、新幹線の大井車両基地回送線、田町車両センター内の“国鉄京浜急行線”の遺構となる橋脚跡など、見どころもいっぱい。田町車両センターの周りを歩き、さらにホテル上階のカフェから、地下道から、電車の中から、“激変前夜の田町・品川”を垣間見た。

《レスポンス編集部》

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