【上海モーターショー13】クロスブルークーペで「シャープエッジと深い段差を両立したい」VWデザイン統括のクラウス・ビショフ氏

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VW クロスブルークーペ
VW クロスブルークーペ 全 4 枚 拡大写真
VWがワールドプレミアした『クロスブルー・クーペ』は、1月にデトロイトで披露した『クロスブルー』に続くSUVコンセプトの第2弾だ。前作が3列シートの6人乗りだったのに対し、今回のクロスブルー・クーペは全長を10cmほど縮めて2列5人乗りとしている。

車名を聞いて(あるいは写真を見て)、2011年東京モーターショーのプレスデーにだけ展示されたクロスクーペを思い出す人もいるだろう。スタイリングのイメージにも共通点がある。しかしクロスクーペは『ティグアン』ベースでもっとコンパクト。クロスブルー/同クーペはMQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)と呼ぶ新世代プラットホームを使い、全長5m弱、全幅2m強と大柄だ。

新型『ゴルフ』VIIですでに採用されているMQBは、『ポロ』から『パサート』までカバーできるという。そんなフレキシブルさを活かした大柄なサイズと言えそうだが、インテリアを手掛けたデザイナーは「ドア・ヒンジやステアリング・ポストの位置などMQBならではの制約も多いので、それを踏まえてデザインするのはけっして簡単ではない」と苦笑していた。

クロスブルー・クーペは前作クロスブルーより全高が54mm低い1679mm。それをより低く見せるため、ベルトライン直下からフロントフェンダーにシャープなラインを延ばしたのがエクステリアのひとつの特徴だ。ゴルフVIIにも同様のラインがあるが、ゴルフはシンプルな折れ線なのに対し、クロスブルー・クーペでは段差を付けることでシャープさを強調している。

その下にはドアハンドルを貫通するラインがあり、それが前方でUターンして上下2本のラインがリヤコンビランプまで延びる。これも前作にはなかったクロスブルー・クーペの特徴で、どうやら量産版にも採用されるようだ。

ドアハンドルを貫通するラインは、かなり深い段差を伴っている。「ラインの下をえぐって段差を付ける例は他社にもあるが、プレスが難しいからラインを丸めている」とVWブランドのデザインを統括するクラウス・ビショフ氏。「それでは精緻さが表現できないので、我々はシャープエッジと深い段差を両立したいと考えている。これからエンジニアと工場が苦労することになるね(笑)」

すでに量産設計が進んでいるようだ。量産版も北米向けは3列シート、それ以外の地域では2列シートがメインになるだろう。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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