東京商工リサーチが発表した2012年度に不動産を売却した東証1部、2部上場企業調査によると8年ぶりに売却企業数が前年度を上回った。
調査は、東京証券取引所1部、2部上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2012年4月~2013年3月までに国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施し、会社情報に関する適時開示資料を公表した企業を調査した。
会社情報の適時開示ベースで2012年度に国内不動産(固定資産)の売却契約・引渡しを実施した東証1部、2部上場企業数は、前年度に比べ10社増の60社で、8年ぶりに前年度を上回った。
2012年度の売却土地総面積は、内容を公表した52社合計で54万7316平方メートルで、前年度より48.0%減少したが、売却土地面積が1万平方メートル以上は19社で、前年度より6社増加した。
前年度は、各企業が東日本大震災後の対応に追われ、不動産取引の取り組みが手薄となったり、様子見したことが影響して不動産売却企業が調査開始から最少となった。しかし、2012年度は震災の影響も落ち着き、有力な買い手として不動産投資法人の物件取得の動きが活発化、不動産取引市場を牽引したことも増加の要因になった。
公表売却土地面積トップは、休止中の工場敷地の一部を譲渡先の要請により分譲住宅用地として売却したオーミケンシの5万9858平方メートル。次いで、生産移管で遊休化した埼玉工場の土地建物を売却した日本無線の5万4484平方メートル。生産拠点の集約で移転後の羽村工場跡地を売却した日立国際電気の5万1215平方メートルと続く。
譲渡価額の総額は、公表した52社合計で3057億7000万円(見込み額を含む)となった。個別のトップは、保有資産の見直しの一環として、JR大崎駅前の自社ビル「ソニーシティ大崎」の信託受益権を譲渡したソニーの1111億円。次いで、財務改善計画の一環で自社ビル「パナソニック東京汐留ビル」の信託受益権を売却したパナソニックの507億円。東京テアトルが178億8600万円、IHIが140億8300万円、森永製菓が118億7000万円の順。譲渡価額が100億円以上は5社だった。
譲渡損益の総額は、公表した52社合計で1349億3100万円(見込み額を含む)となった。内訳は、譲渡益計上が43社で合計1384億1700万円。譲渡益トップは、ソニーの410億円。次いでIHIの134億8200万円、日立国際電気が90億円、森永製菓が85億円と続く。これに対して譲渡損を公表したのは8社で、譲渡損の合計は34億8600万円。
業種別社数では、電気機器が11社で最も多かった。次に、小売が7社、不動産5社、卸売、化学、機械、その他製品が各4社と続く。業種別売却土地面積では、電気機器が23万5575平方メートルでトップ。次いで、繊維製品が9万3427平方メートル、機械が3万9933平方メートル、化学が3万8890平方メートル、小売が3万5027平方メートルの順だった。