ヘッドライト光源は向こう5年で大変革を遂げる…本命はレーザー

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フィリップスの自動車用ライトの歴史
フィリップスの自動車用ライトの歴史 全 10 枚 拡大写真

現在、世界における自動車のヘッドライト光源はハロゲンバルブが全体80%を占めている。残りの20%弱がキセノンバルブとなり、LEDなどそれ以外の光源は数%と言われている。しかし、フィリップス アーヘン工場(同社の自動車用照明機器の世界最大の製造拠点)のアプリケーションラボ ルーカス・クーパー氏によれば、自動車用のLEDライトは少しずつだが着実に増えており、今後はシェアを拡大していくとみている。

【画像全10枚】

そのシナリオは、まず、コスト的に課題のあるキセノンバルブの市場がLEDに置き換わっていくだろうとする(クーパー氏)。全体の8割を占めるハロゲンバルブは、コストパフォーマンスにも優れており、この市場がすぐに大きく減少することはないが、長期的にはやはりLEDに置き換わっていくとも予想している。LEDは消費電力の面で圧倒的な優位にあるが、明るさの点でハロゲンやキセノンに及ばない。また、放熱対策といった問題も抱えているが、消費電力と明るさの改良は日々進んでおり、その差は埋まりつつある。

また、光源そのものが小型化しやすいため、ライトとしてのデザインの自由度が格段に上がることも、LEDライトの採用拡大を後押ししている。ハロゲンバルブが、ダブルフィラメントでHi/Lowが一体化されたH4より、シングルフィラメントのH7など新しいタイプが人気なのも、ヘッドライトのデザインがしやすいからだ。

デザインのしやすさはヘッドライトに限らず、DRL(Daylight Running Light)やリヤランプ・マーカー類、車内照明などにも言えることで、LEDライトは世界的にみてもオールマイティでの採用が進んでいる。そのため、アプリケーションラボにおいてLED製品の研究と開発が進められている。アプリケーションラボは、LED照明の明るさや消費電力のような技術的な研究開発だけでなく、名前が示すように応用事例も含めたトータルな研究開発を行っている。

例えば、ADBまたはAFSといった配光パターンや方向を動的に制御するヘッドライトのLED化もこのラボで行っている。他にも各種LED式のDRL、トラック用のLED灯火類なども自動車メーカーや灯具メーカーのやりとりしながら開発を行っている。面白いところでは、NeoVisionという作業用のLEDライトの商品開発も同ラボで行ったそうだ。NeoVisionは、円筒形のLEDライトだが、磁石とクリップで好きなところに固定でき、ライトの向きも任意に調整できるようになっている。自動車整備などで便利だろう。

さらにLEDの次にくる光源としてレーザーの応用も考えているという。レーザー光線は通常目には見えないが、特殊なフィルターによって可視化し、そしてレンズによって光を拡散させることでヘッドライトの光源として利用可能になる。レーザー光源のメリットは光源をさらに小さくできることだそうだ。それによりデザインや応用にさらに幅がでてくるはずだ。ただし、レーザー光源はまだ研究段階であり、実用化にはあと4、5年かかりそうだという。

60年以上前、カーバイトライトを電球に置き換えたフィリップスは、現在まで、時代ごとに新しい光源を求め開発を続けているようだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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