国立天文台は、30メートル望遠鏡「TMT」(サーティ・メーター・テレスコープ)の建設に向けた取り組みを本格的に開始したと発表した。
TMT計画は、日本、米国、カナダ、中国、インドの5か国が協力して、ハワイ州マウナケア山頂に、口径30メートル、主鏡492枚の分割鏡で構成する超大型光赤外線望遠鏡を建設する。建設は各国の分担で進められ、日本は望遠鏡本体構造、主鏡分割鏡の鏡材製作、分割鏡の一部研磨、観測装置の一部製作などを担当する。
今年度予算でTMT建設に向けた準備費と建設経費の一部を合わせて12億4000万円が措置された。
また、TMTは、文部科学省が推進する「大規模学術フロンティア促進事業」に新たに加えられた。同事業は、スーパーカミオカンデを始めとする学術の大規模プロジェクトを戦略的・計画的に推進することを目的としたもの。2013年から「すばる」、「アルマ」の両プロジェクトに加えて、TMT計画が新たに追加され、合計8プロジェクトとなった。
国立天文台は今年度、望遠鏡主鏡の製作を開始する。TMTは、分割鏡方式の望遠鏡であり、492枚の鏡をあわせて口径30メートルの主鏡を構成する。これまでの開発・試作を踏まえて、今年度から分割鏡の鏡材の量産、表面加工に取り組む。
日本が分担する望遠鏡本体構造の製作に向けても、軽量で丈夫な望遠鏡システムの検討や要素技術の開発・実証を進める。
2013年4月には、TMT建設に向けハワイ州から建設許可が出され、今後、詳細な地盤調査などに入る。
TMTは2022年度の観測開始を目指して、2014年度からの本格建設に向けた準備が進められている。この望遠鏡により、地球型太陽系外惑星の生命兆候の探査や、初期宇宙での銀河形成の解明などに役立てる。