【三菱 eKカスタム T 試乗】車両安定装置とフロントスタビはぜひ欲しい…青山尚暉

試乗記 国産車
三菱 eKカスタム T
三菱 eKカスタム T 全 9 枚 拡大写真

三菱『eKワゴン』にはエアロ&スポーティー仕様も用意される。そのネーミングは先代の『eKスポーツ』ではなく、『eKカスタム』となった。

その理由はふたつ。まずは同クラスの先輩たる『ワゴンR』『ムーブ』のエアロ&スポーティーモデルがカスタムを名乗るから。そして先代とは違い、プレミアム感を重視しているからだ。事実、先代に装備されていたスポーツサスやパフォーマンスロッド、レカロシートなどは用意されていない。

内外装はeKワゴンとは別物だ。CD値が0.32というクラストップレベルの空力性能を持つボディーはフロントグリル、より高く構えたフロントバンパー&ボンネットフード、ヘッドランプ、フロントフェンダー、リヤコンビランプ、リヤバンパーまで専用。さらにサイドエアダム、リヤスポイラーを追加。ボックス型ミニバンを思わせるさらなる高級感と迫力が演出されている。

インテリアは精悍(せいかん)なブラック基調(ekワゴンはアイボリー系)。メーターはekワゴンの大型1連からスポーティーな2連タイプとなり、大型の液晶マルチインフォメーションディスプレーを完備。見栄え、視認性ともに抜群で、実はエコ走行に効く平均燃費計の文字の大きさも褒められる。

エンジンはNAの49ps・5.7kgmはもちろん(2WDの数値)、ターボの64ps・10.0kgmユニットも追加される(JC08モード燃費は23.4km/リットル)。このターボエンジン、最大トルク発生回転数が3000回転とライバルより低いことが特徴だ(ライバル車は4000回転)。

NAモデルに装備されるアイドリングストップは今のところ設定なし。すでにターボモデルでもアイドリングストップ付き車があるだけに、早期の追加を望みたい。

ターボモデルのサスペンションはこの新型ではNAモデルと同じと説明されるが、タイヤは14インチから15インチへ格上げ。最小回転半径は4.4mから4.7mになってしまうが、それでも小回り性で困ることはないだろう。

乗り心地は先代ターボモデルの場合、かなりハードでリヤサスが落ち着かない挙動を見せたものだが、プレミアム指向となった新型はずっとマイルド。硬めながら重厚・上質かつしなやかな乗り味に変ぼうしている。

加速力はもちろん、強力だ。スタートから100km/hまでアッという間だ。NAモデル同様、パワステは約55km/hからビシリと引き締まり、高速走行、カーブでの安心感・安定感はもう抜群だ。山道での操縦性はNAモデルとやや異なる。飛ばしてもパワステは比較的軽いタッチを示し、ずっと軽快に走れる。これはタイヤのキャラクターによるものだという。

ただ、エンジンにトルクがあるぶん、ペースを上げるとロールはNAモデルより大きめ。積極的な走りを楽しみたいなら8月に追加される車両安定装置のASCとフロントスタビライザー付き仕様を薦める。ロールが減少し、安定感が飛躍的に高まること請け合いだからだ。

そのターボモデルならプレミアム感もあってダウンサイザーにもうってつけ。後席の広さもあって、1家に1台のファーストカーになりうるだろう。ペットフレンドリー度もNAモデル同様になかなかだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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