【GARMIN fenix J インプレ後編】スマホ連携で真価発揮するアウトドアGPSウォッチ

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高度計、気圧計、コンパスに加えGPS機能を搭載したGARMINの「GARMIN fenix J」。マリンを含むあらゆるアウトドアスポーツに対応し、さらにランニングウォッチやサイクルコンピューターとして使うこともできる万能の腕時計型デバイスだ。

スマホのアプリと組み合わせてディスプレイサイズの制約を克服

本機が従来のハンディGPSと比べて決定的に違うのが、ディスプレイのサイズや解像度だ。本機には地図データが保存されており、地図表示も可能となっているのだが、実際には実用には耐えない、とはっきり言ってしまっていいだろう。なにしろ、本機のディスプレイ解像度はたったの70X70ピクセルしかない。地図表示など土台無理なのだ。

これでは他の機能がどんなに高性能でも登山やトレッキングには使いにくいと思う人もいるかもしれない。基本的には本機で現在地の緯度経度を測定し、紙の地図と組み合わせて使うということになるが、本機はさらにユニークな新しいアイディアを具現化している。それがスマートフォンとの連携だ。

あらかじめスマートフォンにGARMINが提供する無料アプリの「BaseCamp Mobile」をインストールしておけば、いつでもブルートゥースで本機と通信させることができ、本機に保存されたデータをスマートフォンのアプリに転送できる。これによって、スマートフォンで移動軌跡を地図上に表示したり、高度変化、気圧変化、気温変化、速度変化をグラフ表示することが可能だ。当然ながら本機のディスプレイとは比べ物にならないほど見やすい。

また、本機には目的地を設定してその方向や直線距離を表示するナビ機能があるのだが、これもスマートフォンとの組み合わせが威力を発揮する。本機だけで目的地を設定することも可能なのだが、やはり地図表示の問題から実用的ではない。そこでスマートフォンを使えば、見やすい地図で目的地を設定し、それを本機に転送することができるのだ。

この目的地設定のやりやすさはかなり画期的で、GARMINのアウトドア向けGPSとして定番の「Colorado」シリーズや「eTrex」シリーズと比べてもはるかに快適だ。さらに、本機の発売を機に、Basecampで使えるクラウドサービスもスタートした。これは従来のGARMIN Connectとは別の独立したサービスだが、アカウントは共通となっている。このクラウドサービスにより、パソコンのベースキャンプでルートを作成し、それをスマートフォンでダウンロードして本機に転送するといったことが可能になった。もちろん、従来通りパソコンと本機をUSBで接続することもできるが、ルートが沢山あると全てを本機に転送するのは無理がある。しかし、スマートフォンとの組み合わせなら、大量のルートも快適に管理できるのだ。

◆プロフィールの変更でランニングウォッチやサイクルコンピューターとして使える

本機の大きな特徴として、プロフィールの切り替えがある。プロフィールとはメニュー構成などを記録したカスタム設定ファイルのようなものだと考えればいいだろう。これを切り替えることにより、アウトドア向けGPSである本機がフィットネス向けGPSに早変わりするなど、多彩な使い方ができるようになる。

プロフィールは「ハイキング」、「ランニング」、「サイクリング」、「ジオキャッシング」、「釣り」、「マリンスポーツ」、「スカイスポーツ」、「登山」がプリセットされており、これ以外にも自分でプロフィールを作成して登録することも可能だ。プロフィールを変更するとメニューの構成が変わり、ほかのプロフィールでは表示されなかった機能や設定項目が出現することもある。

フィットネス向けGPSとして使った場合でも機能は本格的で、アウトドア向けGPSとフィットネス向けGPSの両方で豊富な実績のあるGARMINならではの「お得感」を味わえる。例えば「サイクリング」では、ケイデンスやペースにアラートを設定することができ、一定のペースを守って走るトレーニングが可能。もちろん、走行軌跡や高度変化も記録されるし、それをGARMINのフィットネス向けクラウドサービスであるGARMINコネクトにアップロードすることもできる。また、GARMINのサイクルコンピューターと同じようにデータページの表示項目を自由にカスタマイズすることも可能だ。

ただ、残念なのはGARMINのフィットネス向けGPSの多くのモデルに搭載されているバーチャルトレーナー/リアルパートナー機能がないことだ。一人でトレーニングをする人には非常に有用な機能だけに、これは惜しまれる。それと、50m防水でありながらプロフィールに「水泳」がない。ランニングなどのプロフィールで水泳に使用しても問題はないと思われるが、GARMINのフィットネス向けGPSウォッチ「ForeAthlete 910XTJ」には腕の動きから泳法を自動判別するといったスイマー向けの機能がある。本機ではさすがにそこまでの機能はなく、やはりフィットネス向けの専用モデルと比べればそれなりに違いはあるということだ。

最後になってしまったが、実際に使ってみた使用感を報告しておこう。まず腕への装着感は太いベルトのお陰で良好ではあるものの、やはり大きさを感じてしまうことは事実。特に厚みに関しては、数カ月前に試用した「ForeAthlete 910XTJ」と比べて2ミリほどしか変わらないはずなのに、感覚的にははるかに分厚く感じた。

筆者は普段腕時計をしないこともあって違和感が大きく、ポケットに入れたりベルトにぶら下げたりして使用した。このあたりのことはGARMINもわかっているようで、オプションでカラビナストラップが発売されている。筆者が継続的に本機を使うとしたら、迷うこと無く購入するだろう。

ボタンはどれも押しやすく、50m防水であることが信じられないほど軽いタッチで操作できる。ディスプレイのコントラストも高く、屋外での操作も苦にならない。今回は実感できなかったが、二重ガラスを採用しているので冬でも曇ることのないクリアな表示となるはずだ。ただ、実際に使ってみて、多機能であるだけに使いこなしが難しい面を感じたのも事実だ。

たとえば、GPS機能を瞬時にオン、オフできることが本機の美点なのだが、その操作は赤いボタンでメニューを呼び出して行うようになっている。メニュー項目の最初にGPSのオン、オフがあるので、結果的にはなにも考えずに赤いボタンを2回カチカチと押せば、GPSのオン、オフを切り替えられるのだ。しかし、メニューから何かの機能を呼びだそうとした時に、気づかないうちにGPSをオフにしてしまい、移動軌跡の保存ができなかったということが何度かあった。

また、プロフィールを切り替えられるのは便利なのだが、現在どのプロフィールを選択しているかがどこにも表示されないため、「登山」プロフィールのままサイクリングに使ってしまったり、といったこともあった。この辺りは本機が多機能であることと、これまでになかった新しいタイプのGPSデバイスであるがゆえの難しさといえる。ユーザーの側も慣れる必要があるし、ソフトウエアにも改善の余地がありそうだ。

とはいえ、そんな小さな不満も、本機の多機能さとスマホ連携がもたらす便利さの前にはふっとんでしまう。またソフトウェアレベルで改善できそうな部分も少なくない。例えばスマートフォンのアプリで本機の各種設定までできたら便利だろう。そんな、更なる可能性を感じさせるモデルでもある。

《山田正昭》

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