【インタビュー】ビステオン・ジャパン武田代表「e-Beeで市場ニーズを吸い上げる」

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ビステオン e-Bee
ビステオン e-Bee 全 6 枚 拡大写真

ビステオンは、2020年の乗用車のあり方を提案するコンセプトカー『e-Bee』を公開した。ビステオンは10年前からコンセプトカー造りに取り組んでいるが、日本の報道陣にコンセプトカーを公開するのはe-Beeが初めて。

ビステオン・ジャパンの武田大輔代表は「コンセプトカーを広く紹介してもらうことで、我々は市場のニーズを吸い上げ、世の中が求めているものはこれですという提案を、自動車メーカーにしやすくするのが狙い」と語る。

---:部品メーカーであるビステオンがこうしたコンセプトカーを製作し、提案する理由をお聞かせください。

武田代表(以下:敬称略):我々がこのようなコンセプトカーを造り始めて、もう10年になる。我々の持っている電装、空調、内装など各技術を具現化する形として一番良いのは、やはり車を仕上げることだろうと考え、この活動を継続してやっている。

---:そうしますとe-Beeを含めて8台のコンセプトカーは、いずれも市販化を目指したものではないということですね。

武田:もちろん我々は車を造るつもりも、車そのものを開発するつもりもない。我々は、自動車という完成形にして提案することで、そこに使われている技術を自動車メーカーが採用しやすくするための、ショーケースとして位置付けているので、市販化を目指したものではない。

---:e-Beeに使われている技術は、今後どのような形で製品に使われていきますか

武田:何が一番早く世の中に出てくるのかというのは申し上げられないが、例えば表示系のものや、空調システム、軽い素材の内装、いずれも自動車メーカーから興味を持って頂いている。なので、最終的に、e-Beeの中の部品が実際に使われていくことになるだろう。

---:ビステオンのコンセプトカーで使われた技術が実際に日本の自動車メーカーに採用されたものはありますか。

武田:我々がショーケース的に使ったもので、日本のメーカーに納入しているものは、残念ながらまだない。しかし、我々が過去に提案した表示系のものが、ジャガー・ランドローバーなど実際に採用された例もある。

---:e-Beeはこれまでにドイツ、アメリカ、中国、日本で展示公開されましたが、今後の予定は。

武田:次はインドで公開する。我々はほとんど毎年のようにコンセプトカーを造っているので、実はこれからもう組み立てに入る。まだ詳しく話ができる状態ではないが、インドの後というのは次の仕込みをどんどん考えていかなければいけない時期になってくる。とりあえずe-Beeとしてはいったんインドまでとなる。

---:e-Beeは2020年の乗用車のあり方を提案するということですが、今回初めて電気自動車(EV)をベース車両として使った理由は

武田:我々の読みとしては2020年の段階ではEVがある程度の地位を得ているだろうということで、EVをひとつの提案の形とした。もちろんハイブリッド車でも同じような提案はできるが、EVの方がよりわかりやすいということで、今回はEVを選んだ。

---:e-Beeでは外部との接続性も特徴のひとつですが、これまでも接続性の提案がありました。前回までとの違いは何ですか

武田:コネクティビティというものは我々ビステオンとしては、過去から提案してきました。今までは外部とのインターフェイスの前提として1対1というものが多かったということと、車そのものにデータを持ってなければいけなかったが、今回はスマートフォンとクラウドと車が連携することが今までと大きく違ところ。

---:接続性という点ではトヨタ自動車を始めとする大手自動車メーカーも提案したり、実際に製品化しているところもありますが、ビステオンの技術の強みはなんですが。

武田:我々は部品そのものを造っているだけではないので、基本的にその部分だけの提案以上のものをできるというのが強み。デザイン、機能、安全性を含めて、どのような形で具現化してくのが望ましいかといった、より深い議論ができると思っている。

---:日本の自動車メーカーの多くが、新技術はなるべく自前で形にしたいと考える傾向が強い中で、どう攻略していきますか。

武田:日本の自動車メーカーも、外からの技術を取り入れることに対して、以前よりは抵抗が和らいでいると思っている。実際、日本の自動車メーカーも勝つために日本以外のメーカーをかなりベンチマークにしており、そういう中で、すでにもう実用化しているのかと気づかれて、逆に日本の自動車メーカーからビステオンにアプローチして頂くこともある。

---:今回は日本の報道陣に対して初めてコンセプトカーを公開されましたが、その狙いは。

武田:e-Beeを広く紹介してもらうことで、ユーザーのみなさんに、将来乗りたいなと思う車のイメージを持って頂き、結果として我々は市場のニーズを吸い上げる。そうすることによって我々は、世の中はこういうものを求めていますという提案を、自動車メーカーによりしやすくなるというのが我々の狙い。だから双方向で我々のコンセプトを具現化していきたいと考えている。

《小松哲也》

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