8月1日より開幕した「2025 FIM世界耐久選手権コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会」(鈴鹿8耐2025)。レースはもちろん、初披露の新モデルが目白押しなことでも話題となっているが、そんな中スズキは意外な新モデルをひっそりとサプライズ披露した。
「チームCNチャレンジ」として100%サステナブル燃料をはじめ、様々な環境対応アイテムで武装した『GSX-R1000R』で鈴鹿8耐に参戦するスズキ。今年は「GSX-R」シリーズ40周年を迎える記念すべき年で、レース開幕直前の7月31日には市販モデルの新型『GSX-R1000R』を発表。鈴鹿8耐のスズキブースでも国内初披露され注目を集めているが、そんな中完全サプライズで初公開されたのが「CNチャレンジミニ」だ。

8耐マシンほぼそのままにポケバイサイズに縮小されたもので、まさに「ミニGSX-R」と呼べるもの。その再現度の高さと可愛らしい佇まいに、子ども達からも人気となっており、記念写真を撮る家族連れの姿も見受けられた。
写真だけで見ればサイズ感がわからなくなるほどの見事な再現ぶりだが、それもそのはず。チームCNチャレンジに参加するスズキのエンジニアたちがひっそりと開発したものだという。見た目だけでなく走行も可能で、そのパワートレインは何とEV(電動バイク)。ベースとなっているのはスズキが開発を進めている折りたたみ式電動モペッド『e-PO(イーポ)』だ。

よく見れば、ハンドルグリップや液晶パネルはe-POそのまま。とはいえ、それ以外のフレームやタイヤ、サスペンションなどは全くのオリジナルで、すべてがしっかりとモーターサイクルの文法、というよりもレーシングマシンの文法で作られている。巨大なウイングレットにも注目だ。
ご丁寧にスペックも公開されており、全長は1264mm、重量29kg、出力250W、ホイールサイズ10インチとのこと。ホンモノのGSX-R1000Rと比べると約半分の長さ(見た目のサイズは4分の1程度)で、重量では10分の1近い。それでいてEVであることを考えれば、まさにサステナブルな可能性を秘めた一台と言えるかもしれない。

会場でおこなわれた選手トークショーでは、スズキ二輪事業本部本部長の伊勢敬常務がCNチャレンジミニに乗って登場する演出も。司会をつとめた元スズキライダーの北川圭一氏から「これ、いいですよね。みなさんも欲しいですよね?」と来場者に投げかけると、会場からは拍手が起こった。
残念ながら現時点で市販化の予定はないということだが、こうした“本気の遊びゴコロ”もファンを惹きつけるスズキの魅力なのかもしれない。