ロイック・デュバル「ルマンにおいて優先されるべきは、個人の栄光よりアウディチームの勝利」

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ロイック・デュバル選手
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ルマン24時間レース初優勝を遂げたロイック・デュバルは、自身の勝利より「今年もアウディR18 e-tron quattroが勝つことが最優先されるターゲットだった」と語り、ビッグワークスのドライバーである誇りと責務の大きさについても話してくれた。

昨年からアウディ陣営でルマンを戦う機会を得ているデュバルだが、2008年の自身初参戦から初優勝までの道程は、長かったのか、それとも短かったのか。

「長かった、とも思うが、あの偉大なマリオ・アンドレッティや、現役のステファン・サラザン、セバスチャン・ブルデーといった、自分より長く参戦している素晴らしいドライバーたちであっても、ルマン総合優勝を果たしていないという現実がある。それだけ難しいレースだということなんだ。マシン、チーム、すべてが揃わないと勝てない。やはり今回、自分がこの勝利を得られた最大の要因は、アウディというルマンにおけるベストチームに入れたことが大きい。それは間違いないね」

今年もルマンを制したアウディは、初優勝した2000年以降の14回で12勝と、当地で絶対的な強さを誇っている。

「テスト段階から今年のマシンのエボリューションが良いものであることも感じていた」というデュバルだが、現体制での復活参戦2年目となったトヨタ勢の追撃も急であり、特に今年は決勝レースの早い段階でR18の1号車がマシントラブルを背負い込み優勝戦線から脱落するという波乱もあるなど、アウディの4連覇・通算12勝目への道は決して平坦なものではなかった。

デュバルは今回、まず予選でポールポジションを獲得している。

「トラフィックの少ない、いいラップを取ることができた」ことによる快走だったが、「ルマンという長いレースでは、ポールはそれほど重要ではないんだ」と、あくまで自身とアウディの主眼が決勝レースでの勝利にあったことを強調する。

そして3台のR18にレース前から決められた役割は「なかった」とも。

「今の(高速化した)ハードなルマンでは、そういったことはできない。実際にスタートしてから(状況に応じて)戦いを進めていくことになる。そして、どれか1台のマシンにアクシデントやトラブルが発生すれば、直接の担当以外の者も含めて(必要なら)全員で対処にあたるんだ。それが全員で勝利を目指すアウディの戦い方だと理解している」

レース序盤、デュバルには6スティント、約4時間を連続で走るという局面があった。

「あれは最初から決められていたプランで、マシンやタイヤ、作戦についていろいろなことを確認する目的があった。セーフティカーが入ったりした関係上、僕だけが(アウディ勢のなかで)それを実行することになったんだけどね。ルマンのコースというのは、体力的にはそれほど厳しいわけではない。より重要なのはメンタル面だ」

レース展開の方も、メンタル面同様にタフなものとなっていった。前述したように、R18の1号車が珍しくもマシントラブルを抱え、長いピットインを強いられたからである。

「1号車がマシントラブルだということは、エンジニアからの無線で聞いた。そして自分たち(2号車)が代わって『P1』(1位)になったということも知ったよ。もちろん同じアウディ陣営内であってもライバルという意識はある。でも、最優先されるターゲットは、今年もアウディが優勝することなんだ。3号車もあの時点で順調さを欠いていて、2~3位がトヨタ勢だったのだから、自分がトップになったとはいえ、決していい状況ではなかった」

ワークスドライバーとしての責任感の重さが伝わってくる話だ。その重みをしっかり受け止めて、デュバルら2号車のクルーは優勝へ向け着実に歩を進めていき、栄冠をつかみ取ったのである。

《遠藤俊幸》

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