7月17日、ゲーマーからレーサーになったGTアカデミー初代勝者ルーカス・オルドネス選手が、8月17-18日開催のSUPER GT“鈴鹿1000km”に出場すると発表された。星野一樹選手、佐々木大樹選手と共に、NDDP RACINGの日産 GT-R NISMO GT3でGT300クラスへ参戦する。
GTアカデミーは、欧州日産がプレイステーション用ゲームソフト『グランツーリスモ』を使って実施した、レーサー発掘プログラム。その初代勝者のオルドネス選手が、今回、世界各国でのレースに参戦する機会を与えるプログラム「ニスモグローバルドライバーエクスチェンジ」のドライバーとして選ばれ、日本のSUPER GTにスポット参戦することが決定した。
7月19-20日に鈴鹿サーキットで行われるSUPER GTの公式テストに参加するため来日したオルドネス選手が、取材陣の質問に答えた。
---:日本のレースについてどれくらい知っていますか?
オルドネス選手(以下敬称略):SUPER GTは欧州でも有名で敬意を表します。グランツーリスモによって欧州全土でも知られるようになりましたし、私も小学生の頃から見ていました。来月のレースは待ちきれません。
---:鈴鹿のコースはどれくらい走ってますか?
オルドネス:鈴鹿は、私がグランツーリスモで一番走っているコースです。最初のセクションがセンシティブで、高速なコースとして世界的に有名ですので、実際に走るのを楽しみにしています。(日産チームの)クルム選手からアドバイスを得ていますが、コースでも会う予定なのでもう少し話を聞きたいと思っています。
---:ゲームで走るノウハウは、実際走るのにどれくらい役立つのか? ゲームと実際の走行との違いは?
オルドネス:シミュレーションは非常に重要で、今では全てのチームがシミュレーターで練習をしています。私にとっても本当に大事なツールで、フィットネスのようにトレーニングツールとして使っています。フィーリングやコースの状況、ブレーキングポイントなどを事前に知ることが出来ます。実際のコースとヴァーチャルワールドの違いは、事故にあってもリスタートすることができないので、アドレナリンがたくさん出るという点ですね。
---:実際にゲームの経験が役立ったコースは?
オルドネス:どのコースかにもよりますが、昨年、(ポリフォニーの)山内さんとニュル24時間レースを走った時は、コースを事前に知ることが重要でしたので、75%がバーチャルトレーニングによるものです。ニュルは長距離なので、どこにコーナがあってバンプがあるのか、グランツーリスモで知ることが出来ました。その他のコースでは50%~35%と変わってきますが、今後は増加すると思います。実際のレースもコースでの時間が取れないので、シミュレーションはますます重要になってくるかと思います。
---:元々レース経験はありますか? レーサーになったときの感想は?
オルドネス:元々普通の学生だったのが、GTアカデミーで優勝して人生が変わりました。モータースポーツは厳しい世界で競争も激しいです。チームとコミュニケーションの為に英語を勉強しなければなりませんでしたし、ほかのドライバーやエンジニアの方々から、高速で走るだけでなくクルマの仕組みを知ったり、セットアップのやり方を学びました。興奮もしましたが、努力が必要だったのです。
---:レースデビューまでどんなトレーニングをした?
オルドネス:GTアカデミーで優勝した後、ドバイ24時間レースに参戦するため3カ月間イギリスでトレーニングしました。スリックタイヤやシーケンシャルシフトに慣れたり、日産チームの皆さんとドライバーになるための進歩的な教育を受けました。イギリスではわずか3カ月で15以上の地元のレースに参戦して、ドバイ24時間レースに参戦しました。
---:今もグランツーリスモを楽しんでいますか? 今後の目標は?
オルドネス:もちろん今でも楽しんでいます。グランツーリスモのおかげで今の私があるわけです。世界中にレースやテスト走行に行くため、あまり時間が取れませんが、時間があるときにはトレーニングに使っています。将来の目標はまだ決まっていません。私としてはルマン24時間に参戦するのは楽しみですし、SUPER GTは日産のレース活動の縮図ですので、日本のレースを経験するのはキャリアアップにつながると思います。
---:フェアレディZとGT-Rどっちが好き?
オルドネス:Zは後輪駆動でバランスのとれた楽しいクルマです。GT-Rはスーパーカーで、世界最速のクルマの一つ。先週末もイギリスのグッドウッドでGT-Rに乗りましたがとても楽しかったです。世界最高のクルマの一つですよ。