【フィット プロトタイプ】インテリアはドライバー・オリエンテッド感を優先

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ホンダ フィットハイブリッド(プロトタイプ)
ホンダ フィットハイブリッド(プロトタイプ) 全 20 枚 拡大写真

新型『フィット』のインテリアは、ドライバー・オリエンテッド感の強さがいちばんの特徴だ。メータークラスターからウイング状のベントグリルを左右に延ばして、ドライバー空間に広がりを表現。さらに、センタークラスターをドライバーに向けて傾斜させることで、ドライバーを包み込むようなコクピット感覚を醸し出している。

マンマキシマム&メカミニマムのMM思想はホンダのクルマ作りの基本。新型フィットのエクステリアはAピラーを前に出したモノフォルム・プロポーションでこのMMを訴求しているし、パッケージング的にもホイールベースを延ばして(具体的な数値はまだ未公表)後席レッグルームを広げた。しかしインテリアのデザインは必ずしも広さ感を最優先していない。

現行2代目のインパネはメーター回りを除いて上面の高さを抑え、広さ感を表現していた。それに対して新型はベントグリルの位置が高く、センタークラスターのボリュームが大きい。爽快な視界(これもホンダの伝統)を確保しつつも、乗員が共有する広さ感よりもドライバー・オリエンテッド感を優先するデザインになった。

ファミリーカー需要が多いフィットだが、家族のために運転するクルマから運転する人が主役になれるクルマへ、インテリアのキャラクターを変えたように見える。初代や2代目のフィットをもっぱら「ドライバー」として使っている人にとって、この路線変更は魅力的に違いない。

大きなセンタークラスターは、いわゆる「立派感」の表現でもあるのだろう。現行2代目より車格が上がった印象。上級仕様のインパネ助手席側に真空成形したソフト素材を張り、そこにステッチを施したのも車格感アップの要素だ。

しかし、VW『ポロ』はもっと柔らかな触感のスラッシュ成形ウレタンをインパネ全面に使っている。プジョー『208』の上級仕様を見れば、GTIのインパネは本革張り、XYは合成皮革張りだ。欧州勢の質感表現はもっと先を行っている。日本では価格的にポロや208と直接競合しないだろうが、グローバルに考えると、助手席側だけ、上級仕様だけのソフト素材では物足りないと思う。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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