現行『エスティマ』がデビューしたのは2006年1月でモデルサイクルは長期化している。なのに2013年5月には一部改良を実施した。改良の中身は装備の充実化が中心だが、まだしばらくはこのモデルの生産を続けるという意思が示されたことになる。
2014年にはデビューから8年を迎えるから、日本車としては相当に長いモデルサイクルになる。ただ、エスティマの歴史を振り返ると、初代モデルは1990年から2000年まで10年も作られていたから、まだ驚くに値する長さではないのかもしれない。
エスティマの中でも存在感があるのがハイブリッドだ。2.4リッターエンジンのTHS-IIに加えて後輪用のモーターを備えた4WD車で、ハイブリッド車ならではの走りと燃費の良さと、高級イメージが特徴だ。
先進感のあるデザインもエスティマの特徴だが、デビューから6年も経過するとさすがに先進感も薄れてくる。ほかのクルマのデザインも進化しているので、エスティマの内外装は今となってはさほど特徴的ではなくなった。
改めてエスティマハイブリッドに乗ると、やはり良いクルマだな感じた。走りの滑らかさなど、ならではの良さがしっかりと感じられたからだ。今のレベルで考えると、静粛性などはそれほどすごいという感じではなくなったが、それでもハイブリッド車ならではの静かな走りが可能だ。
柔らかめの足回りによる乗り心地の良さや自然なフィールのステアリングなども相変わらずだった。
問題点は価格。マイナーチェンジで価格はやや引き下げられたが、それでも400万円台を中心にした価格帯で、しかもカーナビなどの高価なオプションを装着する必要がある。この価格帯では多くのユーザーにとってリアリティのあるクルマになりにくい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。