【スズキ ワゴンR 試乗】驚かずにはいられないレーダーブレーキサポート…丸山誠

試乗記 国産車
スズキ ワゴンR
スズキ ワゴンR 全 17 枚 拡大写真
軽自動車の燃費競争は激しさを増すばかりで、ついにハイトワゴンでも大台の30.0km/リットル(JC08モード燃費)を『ワゴンR』が達成。

6月に三菱『eKワゴン』と日産『デイズ』が29.2km/リットルを実現したが、たった1か月ちょっとで記録が塗り替えられてしまったわけだ。スズキは軽自動車の燃費競争にとても敏感で、つねにトップの座に君臨しないと気がすまないようだ。

試乗したのは30.0km/リットルの燃費を記録したマイナーチェンジモデルと同時に発売された特別仕様車のワゴンR20周年記念車。専用ブラックメッキのヘッドライトやフロントグリル、15インチアルミホイールなどを採用している。今回の目玉は、燃費よりも衝突被害軽減ブレーキを採用したことだ。ライバルの『ムーヴ』が採用しているにもかかわらずスズキがワゴンRに用意しないはずがない。

スズキは衝突被害軽減ブレーキをレーダーブレーキサポートと呼んでいるが、機能はムーヴと同じ。だが、レーダーの装着場所が異なり、ムーヴがグリルに付けているのに対しワゴンRは多少の雨や雪でもワイパーでふき取れるフロントウインドーの上部にセットされている。またムーヴがデンソー製のレーザーレーダーを採用しているのに対し、ワゴンRはコンチネンタル製という違いから、装着場所が異なっているわけだ。新型『フィット』などコンチネンタル製は最近装着車が多くなりコストダウンが進んでいるようで、今年から一気に普及するはずだ。

まずはお馴染みの停止車両に見立てた壁に向かって約15km/リットルで走り、レーダーブレーキサポートを体感。オートブレーキが作動するタイミングはムーヴなどと同じ感じで大きな差はないが、もっとも違うのはブレーキアクチュエーターの作動音だ。ムーヴは「ガガッ、ガガッ」と大きな作動音がするのに対し、ワゴンRはかなり静か。これもサプライヤーの違いに起因するもので、ムーヴはアドヴィックス製を使っているがワゴンRはボッシュ製。今回ワゴンRはレーダーブレーキサポートと同時にボッシュ製のESP(横滑り防止装置)を採用しているが、アクチュエーターとESPの両方がボッシュ製になったのは偶然らしい。同じボッシュでも部門が違うためで、性能とコストでチョイスしたら同じになったということだ。

高齢者オーナーも多い軽自動車はレーダーブレーキサポートの誤発進抑制機能も、事故の軽減に大いに役立つ。前方に障害物があるとブレーキペダルと間違えでアクセルを一気に踏み込んでもパワーが制限されるため、輪止めを乗り越えることがない。実際アクセルを踏みっぱなし手にしても約5秒間はパワーが抑えられ、その後少しずつ出力が高める設定になっている。また、アクセルを一気に踏み込んでも一旦戻して再度踏み込むとパワーが制限されることはない。

レーダーブレーキサポートとESPを装備したグレードは、FXリミテッドとスティングレーX、Tが4万2000円高という超買い得価格。FXのCVT車は運転席シートリフターとチルトステアリングがセットになるため5万0400円になるが、それでもムーヴと同等の価格設定だ。少し前はESPのオプション価格だけで5万円前後していたが、今や衝突被害軽減ブレーキも付いてこの価格だから、驚かずにはいられない。聞くところによると、ここの価格設定は営業サイドの判断で決定したようでかなりのバーゲンらしい。ワゴンRの購入を考えているならレーダーブレーキサポート装着車を選ばないともったいない!

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部に在籍後、モータージャーナリストとして活動。自動車専門誌や一般誌などで試乗インプレッションや新車解説を執筆。燃料電池車など環境関連の取材活動も行っている。また、キャンピングカーやキャンピングトレーラーの試乗、解説も行っている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

《丸山 誠》

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