アテンザ、クラウン、アコードのヒットは国産セダンへのトレンド回帰か

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ホンダ アコードハイブリッド
ホンダ アコードハイブリッド 全 6 枚 拡大写真

新型「アコード」は目標の7倍の受注を達成

6月21日に発売となったホンダの新型『アコードハイブリッド』は、発売1か月で7000台を超える受注を達成した。これは月間販売計画(1000台/月)の7倍となる数字だ。その内訳は57%が上級グレードの「EX」(390万円)を選択し、43%がレザーパッケージを装着。購入層の約7割が50代の子離れ層だという。

総支払い額400万円を越える上級セダンとして、また、ホンダのセダンとしては、十分なヒットだ。この成功の大きな理由のひとつは、ハイブリッドのみに絞り30km/リットルという驚きの燃費性能を前面に押し出したことも大きいだろう。

「これまで小さいクルマ、弊社で言うと『フィット』シリーズにはハイブリッドが充実していましたが、大きなクラスのハイブリッドは、他社さんも含めてそれほど充実していませんでした」と、アコードハイブリッドの商品企画を担当した金子一氏は、上級セダンにおいてハイブリッドのニーズが高いことを予測していたという。また、そもそもセダンを乗っているユーザーは、ハイブリッドを求める声が高いともいう。

そして、現時点でのアコードハイブリッドの好調ぶりを見れば、金子氏の予測は正しかったと言っていいだろう。

◆時代の変化も新型アコードハイブリッドを後押しした

ところで、アコードハイブリッドのヒットが燃費性能が背景になったことはあるだろうが、トレンドの変化も、ヒットの追い風になったとは考えられないだろうか。

振り返ってみれば、日本国内でのセダンニーズは、すっかり冷え切っていた。以前は、ミニバンがこの世の春を謳歌していたし、ここ数年は『プリウス』に代表されるハイブリッド専用モデルが大ヒット。最近では、軽自動車やコンパクトカーに注目が集まっている。

しかし、一方で上に述べたように、ここにきて国産セダン復活の兆しも見えてきた。それも支払額としては300万円を超える高級車クラスのカテゴリーにおいてだ。

昨年11月にデビューしたマツダの新型『アテンザ』は、発売1か月で目標の7倍となる7300台を受注。2013年1月~6月の累計販売でも1万2000台を突破している。前年比でいえば、およそ10倍という伸びだ。

続いて2012年暮れにデビューしたトヨタの新型『クラウン』は、さらに大きなヒットを記録。2013年1月~6月の累計販売は4万8000台を超え、通称名別販売ランキングにおいて6位にランクインしている。こちらは相当な代替需要を抱えているのでこの売れ行き自体にはそう驚きはないが、注目すべきは販売の7割を4気筒のハイブリッドが占めているということだろう。高級セダンイコール6気筒というイメージは、クラウンの登場を契機に覆されたと見ていいかもしれない。クラウンに次いで登場したレクサス『IS』についても同様のことが言える。

◆国産セダンはドイツ車勢に一矢報いることができるか

アコードは、こうしたアテンザやクラウンのヒットが話題・関心を集める中でのデビューであり、その恩恵を少なからず受けたと見てもいいだろう。そして、話題のセダンのデビューは、新型アコードで終わらない。この後には、マツダの『アクセラ(セダン)』や日産『スカイライン』、トヨタ『マジェスタ」といった新モデルの登場が控えている。また、8月の初旬にはトヨタ『カローラ』にもハイブリッド仕様が登場する見込みだ。これも当然、セダンの注目を高める一助となるはずだ。そして、ホンダも来年度は新型『レジェンド』を投入するという。

昨年の暮れに始まった話題の国産新型セダンのデビューラッシュは、まだまだ続く。魅力溢れるセダンがデビューし、販売台数のランキングに登場すれば自ずとセダンへの世間の注目度は高まる。中型クラス以上のセダンと言えばクラウンを除くと輸入車(とりわけドイツ車)の独壇場となっていたが、この国産セダン回帰のトレンドが、果たして一過性で終わるのか、それともさらなるヒット作が生まれるのか、注目したいところだ。

《鈴木ケンイチ》

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