【ホンダ フィット 新型 発表間近】ハイブリッド燃費は36.4km/リットル? 33.6km/リットル?

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ホンダ フィットHV(プロトタイプ)
ホンダ フィットHV(プロトタイプ) 全 12 枚 拡大写真

9月に発表されるホンダ 3代目『フィット』。7月に行われたプロトタイプ試乗会の時に比べて、より詳細な商品概要を入手したのでお伝えする。

◆現行2代目比較で燃費4割アップのハイブリッド

1.3リットル直4アトキンソンサイクル、1.5リットル直4直噴、1.5リットルハイブリッドの3種類のパワーソースのうち最も注目を集めそうなのは、JC08モード走行時36.4km/リットルという燃費性能を看板とするハイブリッドだ。

現行の第2世代モデルから一気に約4割アップ、トヨタ『アクア』を抜いてハイブリッドナンバーワンという驚異のスペックだが、その数値は全グレード共通というわけではないことが判明した。36.4km/リットルなのは運転席のハイトアジャスター(高さ調整機構)、室内スペースを有効活用できるウルトラシートなどが未装備のベースグレードのみ。それらが標準装備の「Fパッケージ」、さらに豪華装備となる「Lパッケージ」は33.6km/リットル、パドルシフトや16インチホイール、スポーツタイヤなどを備える「Sパッケージ」は31.4km/リットルだ。

ベースグレードとF/Lパッケージ間で差がつく主要因は車重。ベースグレードは車重1080kgで、JC08モード燃費計測の際の等価慣性重量(シャシーダイナモのローラーにかけられる抵抗)は1130kg。それに対してFパッケージ、Lパッケージの重量は1130kgと、燃費測定における重量のしきい値である1080kgを超えてしまうため、等価慣性重量は1クラス上の1250kgとなる。その違いが2.8km/リットルの差を生んでいる。

◆販売のメインは33.6km/リットルのF/Lパッケージ

ベースグレードは追突軽減シティブレーキやサイドエアバッグなどの安全装備をオプションでも選択できず、ダッシュボードもハードプラスチックで質感は上位グレードに劣る。フィットの売りである室内ユーティリティの高さも半減というのでは、とにかくカタログ燃費のいいクルマが欲しいというユーザーや予算ありきの法人ユーザー以外は選びにくい。購入の中心は33.6km/リットルのモデルとなろう。

ちなみに最大のライバルとなるトヨタ『アクア』は全グレードとも車重はフィットハイブリッドのベースグレードと同じ1080kgで、オプションを追加しなければ35.4km/リットル。ただしオプション追加でF/Lパッケージと同じ1081kg~のクラスになった場合は33.0km/リットルで、実売モデルはそれが主流。両者の実質的な燃費対決は、33.6km/リットルvs33.0km/リットルと、1km/リットル未満のつばぜり合いだ。

◆F/Lパッケージより一回り太いタイヤを履くSパッケージ

次にF/LパッケージとSパッケージの燃費比較だが、燃費差は主にタイヤによって生ずると考えられる。JC08モード計測では実車の走行抵抗が加味される。20km/hから90km/hまで、10km/h刻みで空走させ、加速度センサーでどれだけクルマのスピードが落ちやすいかを調べ、エネルギーロス分を燃費測定に加味するのだ。空力が悪かったり駆動系、タイヤなどの抵抗が大きければ、当然燃費値も下がる。

F/Lパッケージのタイヤは185/60R15、Sパッケージは185/55R16と、タイヤの最大幅は同じだが、Sパッケージのタイヤはグリップ力が高く、そのぶん走行抵抗も大きくなる。その差がモード燃費で2.2km/リットルの違いとなって表れているのであろう。

公道走行時においては、重量区分の違いよりタイヤの違いのほうが、燃費に大きな影響を与えるのが一般的。果たして新型フィットハイブリッドの実走燃費がどのくらいになるのか、デビュー後のユーザーレビューが楽しみだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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