今回の再生可能エネルギー世界展示会では、NEDO(独立行政法人 新エネルギー産業技術開発機構)が参学と協力して行っている、様々な再生可能エネルギーへの取り組みについて大規模なブースで紹介していた。
IHIもNEDOからの委託事業としてバイオマスエネルギー分野にも取り組んでおり、その代表的なものとして油生成藻の培養研究をNEDOブースで展示していた。
油生成藻とは「石油を作る藻」のことだ。この油生成藻としては現在「ユーグレナ」、「シュードコリシスチス」、「ボツリオコッカス」の3種類の研究が行われている。それぞれに特徴や長所短所があり、効率の良いバイオ燃料製造のために技術開発が進められている。IHIが手がけているのはボツリオコッカスだ。
この藻は、細胞内に50%もの油を溜め込み、抽出しやすさにも優れていることから、1個体としては最も効率のいい油生成藻であるが、増殖力が低く培養の効率が悪いことが難点だった。そこでIHIはバイオテクノロジー・ベンチャーのネオ・モルガン研究所と協力して、増殖力が高いボツリオコッカスの探索を行ったと言う。
ネオ・モルガン研究所の説明員は、「従来のボツリオコッカスは、増殖するのに2週間もかかったのですが、発見した高速増殖型ボツリオコッカスは3日間で増殖してくれるのです。さらに研究を進めて、より増殖スピードを高めて生産効率を上げることを目指しています」と語る。
そのため2年前は精製前の油で1Lあたり1200円ほどのコストがかかっていたが、現在では500円ほどにまで引き下げることが可能になったそうだ。
藻が作り出すのはナフサのような軽質油だが、改質することでガソリンも生み出せる。大規模なプラントなどで大量生産するなど、更に生産効率が高まれば、再生可能エネルギー由来のガソリンを作り出すことも夢ではない。そうなれば石油が高騰しても、ガソリンエンジンは存続していくことができそうだ。