【スズキ アルトエコ 試乗】燃費スペシャルながら走りもまずまず真っ当…松下宏

試乗記 国産車
アルトエコ
アルトエコ 全 14 枚 拡大写真

軽自動車の燃費競争の中で、2013年8月上旬現在でガソリン車の燃費トップにあるのが『アルトエコ』。リッター33.0kmの燃費を達成している。

この数値は間もなく『ミライース』に更新される予定だが、最近の軽自動車は燃費のオーバーテイク合戦はとても激しい。このタイプだけでなく、『ワゴンR』と『ムーヴ』などのハイト系でも同様に争われている。これが繰り返されたら、軽自動車の燃費は無限に向上していくのかと思わせる。

アルトエコの低燃費は、ボディの軽量化と空力特性の向上、エネチャージに代表されるグリーンテクノロジー、パワートレーンの効率化など、さまざまな技術によって実現した。

この超低燃費はかなり無理して達成した印象もある。アルトエコはそもそも燃料タンクの容量を20リッターに減らすなど“裏技”に近い手を使っているが、今回もタイヤの空気圧を更に高めて300kPaにしてきた。燃費スペシャルともいえるかなり大胆な設定だ。

タイヤの空気圧を高くすることは乗り心地や操縦安定性を悪くする方向に向かう要素だし、あるいはエンジンとCVTの制御を燃費方向に徹することは走りを鈍くする方向に向かう要素だ。

そんな懸念を持って試乗を始めたが、アルトエコの走りは意外なくらいにまともなものに仕上がっていて、特に悪い印象はなかった。

もちろん、限られたシチュエーションで限界性能を試すようなことをすれば、それ相応の結果が出るのかもしれない。でも、タウンユースの範囲内では乗り心地は悪くないし、少々の急ハンドルや急ブレーキを試しても、走りが乱れるようなことはなかった。これでリッター33.0kmの低燃費が得られるのなら納得できる。

走り出しはスムーズだ。軽量ボディに新世代のR06型エンジンと副変速機付きCVTの組み合わせを搭載することが、滑らかな発進につながっている。逆に振動や騒音は軽自動車としてもやや大きめという印象で、これを低燃費と一緒に達成するのが今後の課題だろう。

発進時にブルーだったメーターが、エコ運転中はメーターがグリーンになって低燃費運転をしているのが分かる。色の変化を励みに燃費の良い運転を心がけたら良い。キーをオフにするとエコスコアが表示され、エコ運転の達成度が分かる仕組みも盛り込まれている。

アルトエコは積極的に勧められるクルマではないが、一家のセカンドカーやサードカーとして町乗り中心に使うなら、十分に選択の対象になると思う。低燃費であるだけでなく、低価格でもあり、更に低燃費によってエコカー減税で免税が適用される。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  3. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. 軽EV市場に新顔登場、ホンダ『N-ONE e:』と競合する車種
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
ランキングをもっと見る