【インタビュー】アイドリングストップはキャパシタで攻める! 古河電池

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古河電池 自動車生産統括部 市販営業部企画グループ 平野智宏氏(左)、技術部営業技術グループ 遠藤佳菜氏
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古河電池、自動車営業統括部から市販営業部企画グループの平野智宏氏と自動車生産統括部から技術部営業技術グループの遠藤佳菜氏に話を聞いた。

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---:自動車メーカー各社は、0.1km/リットル単位で燃費を稼ごうとパワートレインを進化させています。特にアイドリングストップ搭載モデルは急速に拡大し、バッテリーに対して高い性能が求められてきていると思いますが、古河電池はどのようなスタンスで商品を展開しているのでしょうか。

平野氏(以下敬称略):この4~5年の当社の状況を申しますと、より高いバッテリー性能が求められる充電制御車が出てきたことにより、当社でも松・竹・梅とある性能ランクの中で、松と竹の比率が毎年アップしてきています。また、今後さらに需要が見込まれるハイブリッド車(HV)やアイドリングストップ(IS)車用バッテリーもラインアップに用意して準備をしている状況です。

特に、IS車は昨年約200万台以上販売されていますので、このバッテリーに関しては、2015年ぐらいにはかなり取り替えの需要が出てくると思います。2015年には、従来車用バッテリーは徐々に減っていき、充電制御車やIS車、HV用バッテリーが増えていくと考えております。

---:新しくIS車用バッテリーの『ECHNO(エクノ) IS UltraBattery』を導入した狙いは。

平野:今回、我々が投入したECHNO(エクノ) IS UltraBatteryは、補償期間を従来の18か月または3万km補償から、その約2倍となる、36か月または6万km補償を実現しています。IS車は、車種ごとにバッテリーに求められる性能がバラバラで、従来品の性能では汎用性が保てなかったのですが、ECHNO(エクノ) IS UltraBatteryは、高性能ゆえに余裕があり、どのIS車にも使っていただけるようになりました。

---:IS車用バッテリーに他社との性能差を持ち込んだ訳ですが、どのようにターゲットユーザーを想定していますか。

平野:ターゲットは、IS車にお乗りの全ユーザーが対象となりますが、今はまだ、先の需要に対する訴求活動をしている状況です。この商品をお取り扱いいただければほとんどのIS車をカバーできますよ、と提案し、まずは販売店の定番品としてもらえるよう訴求活動をしています。当社は、IS車用バッテリーに関しては“ウルトラバッテリー”に絞り込むので、IS車に対して“古河はこれ一本で行こう!”と意気込んでいます。

---:IS車では、バッテリーに対してどのような性能が求められるのでしょうか。

遠藤氏(以下敬称略):ISや充電制御のない従来車では、走行中は常に発電機が回りバッテリーは満充電、または過充電の状態となっています。一方、環境対応車として登場したIS車では、走行中は一定の充電量がある場合に充電電圧を下げる充電制御により、バッテリーとしては満充電ではない充電不足状態を推移します。IS中には発電機が完全に停止し、ライトやカーステレオなどの電装品への電力供給のためバッテリーから放電がされ、さらに再スタートによる深い放電も発生します。

こうした使い方ですのでIS車用バッテリーでは、深い放電に対する耐久性と、失われてしまった充電状態を急速に回復させる充電受入性能が必要となってきます。

特に、充電受入性能に関しては、頻繁にISが繰り返された場合、充電受入性能が低いとバッテリーの充電状態は徐々に下がっていき、ある一定の領域になると車両側でISをしなくなってしまいます。急速に充電を回復させる充電受入性能が高ければ、IS可能な状態を長時間保つ事ができるのです。

---:充電受入性能を向上させるために採用されたキャパシタ機能とは、どういった技術なのでしょうか。

遠藤:今回当社が採用したウルトラバッテリーテクノロジーでは、キャパシタ層で負極の極板を“サンドイッチ”にします。そうすることで充電受入性能を高めています。キャパシタ層では、化学反応を伴わない電子の吸脱着により、瞬時に電気エネルギーを取り入れることが可能となっています。また、キャパシタのメリットとして、急速充電に強いだけではなく、バッテリーの寿命に影響するサルフェーションの抑制にも効果を持ちます。

---:サルフェーションとはどういった現象なのでしょうか。

遠藤:粗大化した硫酸鉛のことをサルフェーションと呼んでいます。鉛バッテリーには、負極に鉛、正極に二酸化鉛が使われているのですが、充放電の中で、負極の鉛が電子を放出して硫酸鉛になり、硫酸鉛が電子を受け取って鉛に戻るというサイクルを繰り返しています。しかし、充電不足状況が続くと、硫酸鉛から鉛に戻らないものが発生し、長期放置されて粗大化したものがサルフェーションとなります。IS車は充電不足傾向にあるので、サルフェーションが発生しやすい状況にあるのです。

サルフェーションは不導体なので、バッテリー容量や出力の低下が発生し、充電受入性も低下して、結果としてバッテリーの短寿命化を招いてしまいます。サルフェーションを抑制するには充電をして硫酸鉛を鉛にかえてあげる必要があるのですが、ウルトラバッテリーでは、電子を引きつけるキャパシタ層があることで、負極に対して電子が供給されやすく、バッテリーの長寿命化にも貢献しています。

---:このキャパシタ技術はいつ頃から開発されたものなのでしょうか。

遠藤:元々、2003年にオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のラム博士から、キャパシタと鉛バッテリーを融合したキャパシタハイブリッド型鉛バッテリーの開発が打診され、開発がスタートしました。2006年に自動車用のバッテリーが完成し、HVのメインバッテリーとして搭載した走行試験が開始され、2008年には16万kmの走行を達成している技術となります。

---:IS車用バッテリーの開発は、どのメーカーも苦労しているみたいですが、古河電池はキャパシタ技術を持っていたことが大きかったのですね。

平野:IS車というのは、本当に車種ごとに求められる性能が違うのですが、車種ごとの基準に合わせて他社と同じものを作るのではなく一つ上を行く、“充電受入性能”、“耐久性”、“補償期間”、という3本柱を用意して、他社との差別化を図りました。

従来品の性能レベルでは、車種ごとに合わせて作るしかなく汎用性を持たせるのは難しかったのですが、今回のECHNO(エクノ) IS UltraBatteryでは、実車試験でも、当社従来品と比べIS回数が多いことも確認おり、充電受入性能・耐久性の向上も実現したことにより、どの車に乗せても大丈夫とはっきり言えるようになりました。これから本格的な需要が発生する2015年までに、IS車といったら古河のECHNO(エクノ) IS UltraBatteryと思っていただけるよう、訴求活動をしていきたいと思っています。

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