【ホンダ アコードHV 試乗】自在な走りを低燃費で実現する…松下宏

試乗記 国産車
アコードHV
アコードHV 全 15 枚 拡大写真

フルモデルチェンジを受けてハイブリッド専用車になった新型『アコード』は、実際には『インスパイア』のフルモデルチェンジ版である。なのでボディは相当に大きい。日本での使い勝手を考えるとこの大きさは大きなネックだが、そのことを除くといろいろな意味で良くできたクルマだ。

ボディの拡大で室内空間が拡大し、後席の余裕が大きくなった。後席にも人を乗せる機会が多い人なら、この広さに満足できるはず。インテリア回りのデザインや質感なども高級車を思わせる仕上がりだ。

トランクの容量は余り大きくない。後席のシートの裏側にハイブリッド用のリチウムイオン電池を搭載しているため、トランクの奥行きと容量が影響を受けている。これはもうひと工夫が欲しい部分だ。

ホンダの新世代ハイブリッドシステムであるスポーツハイブリッドi-MMDを搭載することで、JC08モードでリッター30.0kmの低燃費を実現した。これはアコードのボディサイズを考えるととてつもなく良い燃費である。

i-MMDは直列4気筒2.0リッターエンジンに駆動用と発電用のモーターを組み合わせた2モータータイプ。これまでのホンダのハイブリッドは1モーターのIMAだったから、全く異なる新システムだ。

エンジンは効率を重視したアトキンソンサイクルを採用する。動力性能は105kW/165N・mだから特にパワフルではない。でも組み合わされるモーターが高出力タイプで124kW/307N・mを発生する。このモーターとの組み合わせで良く走る。システムとしては146kWのパワーを発生できる。

電池はリチウムイオン電池を1.3kW/h搭載している。ハイブリッド車として平均的な容量だが、ニッケル水素電池ではなく電気の出し入れ性能に優れたリチウムイオン電池であることが注目点だ。

走り出しはモーターだけで発進し、電池の容量が減ったり、アクセルを踏み込んだりするとエンジンが始動してハイブリッドモードになり、高速クルージングではエンジンで走るモードになるなど、自在な走りを実現する。

ドライバーは主にアクセルを通じて命令するだけで、走行条件に応じた走りが自動的に選択される。エンジンがかかるときには多少の振動や騒音があるものの、これも良く抑えられている。

インパネ内に表示されるエネルギーフローメーターを見ていると、エンジンとモーターをどのように使って走っているか、あるいはエネルギーの回生をしているかが良く分かる。電動サーボ式ブレーキのフィールも上々で、正にマルチ・モードの自在な走りだ。

ホンダ車として考えると、ややモーターに頼り過ぎのきらいもあるが、これが新しい時代のホンダ製ハイブリッドと考えるべきなのだろう。

アコードハイブリッドの価格はベースグレードのLXが365万円で、衝突軽減ブレーキ(自動ブレーキ)やアダプティブ・クルーズコントロールなどを装備した上級グレードのEXが390万円という設定。今どきのクルマとして自動ブレーキは必需品ともいえる装備だから、これは上級グレードのEXを選ぶべきだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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