【コンチネンタル・テックライド2013】「48ボルトのマイルド・ハイブリッド」という提案

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【コンチネンタル・テックライド2013】「48ボルトのマイルド・ハイブリッド」という提案
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15年後、世界のクルマの9割が電動化される

2013年9月5日、大手グローバル自動車産業サプライヤーであるコンティネンタルは、将来技術を紹介するメディア・イベント「Tech Ride」を、千葉県旭市にある同社テストセンターにて開催した。

このイベントは、コンティネンタルが自動車業界の次世代のトレンドを睨んで注力する「自動運転」と「ニーズに応じた電動化」のテクノロジーを紹介するもの。コンティネンタルの考えをプレゼンするだけでなく、そうした最新テクノロジーを搭載した車両をテストコースで走らせるのだ。

そのコンティネンタルの戦略を説明するプレゼンにて、パワートレイン部門の日本&ASEAN担当上級副社長である田中昌一氏から非常に興味深い話を聞くことができた。

それは2025年に向けたパワートレインの世界市場動向の予測だ。全世界での乗用車および、小型商用車向けエンジン生産において、2025年に電気自動車やハイブリッドカーといったモーター駆動を行うパワートレインは、21%程度に留まるという。逆に、ポート噴射と直噴を含むガソリン内燃機関エンジンは59%。残り17%がディーゼルであり、3%がCNG/LPGを使うエンジンだというのだ。

モーター駆動が、それほど伸びないという予測は他でも聞くことがある。ここまでは、それほど珍しい話ではない。しかし田中氏は、同じ予測を「電動化」という視線で見直すと、まったく違った景色が見えると説明したのだ。

「ガソリン、ディーゼルのユニットは残ります。ただし、電動化は必ずついてきて、9割のエンジンにはなんらかの電動化を2025年には施されることになります」と言う。

ここで言うパワートレインの電動化とは、モーター駆動を行う電気自動車やハイブリッドカーに限るだけでなく、アイドリングストップや減速エネルギー回生までを含む。つまり、2025年の時点で、アイドリングストップもなにもしないクルマは、11%しかないと予測する。この予測こそが、コンティネンタルの「ニーズに応じた電動化」を推し進める理由のひとつなのだろう。

ドイツから提案された新しい電動化手法

12年後は、9割ものエンジンが電動化アイテムを備える。コンティネンタルの予測によると、その内訳はアイドリングストップ、48V、ディーゼルハイブリッド、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVというものであった。ここで見慣れぬのが「48V」だ。

これは2011年にアウディやBMW、ダイムラーなど、ドイツ・ブランドが共同で提案したアイデアで、オルタネーターを従来の12Vから48Vに変更することでパワーを与え、エンジン・アシストさせようというもの。

コンティネンタルのデモカーである「48V Eco Drive」システムでは、駆動をアシストするモーター/オルタネーター(インバーターを内蔵)、直流電流を制御するDCDCコンバータ、電力を蓄えるリチウムイオン電池の3点からなる。そして、このシステムにより、最大で13%ほどの燃費向上が望める。高圧電流系統が不要であり、完全なハイブリッド・システムと比べれば、わずかなコストアップで燃費向上を実現できる費用対効果の高いシステムだと言うのだ。

ちなみに、すでに発売されている日産セレナの「S HYBRID」もオルタネーターでアシストするというアイデアは同じだ。しかし、従来の12V環境下でシステムを働かせるセレナに対して、48V環境のコンティネンタルの方が、より大きな効果が望める。また、日本における採用は日産に限るが、ドイツでは、ドイツ自動車工業会(VDA)も全面的に推すという状況で、より広く採用される可能性が大きい。コンティネンタルとしても「48V Eco Drive」を搭載したデモカーを作り、あちこちの自動車メーカーに提案しており、2016年には量産車がお目見えする予定だという。

パワートレインの電動化というと、ついハイブリッドやEVという、ハイテクノロジーに目を奪われがちになるものだが、世界を見渡せばシンプルでコストの安いシステムへのニーズは根強い。

《鈴木ケンイチ》

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