モーターショー会場を見て回ると各自動車メーカーにおかれているクルマが、メーカーのロゴマークとは別のエンブレムを採用していることに気付く。一見、「別ブランドでも登場したか?」と勘違いしそうになるが、実は違う。背景には、実施が間近に迫ったインドネシアのローコストグリーンカー(LCGC)があったのだ。
そもそもLCGCとは、インドネシア政府が進める低価格・環境対応車政策のことで、条件を満たすことで、課税されていた10%の奢侈品販売税が免除されるようになる。この制度については、これまで政策決定がなかなか進まず、一時は本当に実施されるのか訝しがる声もあった。
しかし、今年7月1日、やっと対象車種の選定方法や販売価格の上限などを定めた工業大臣令を発令。これによりLCGC制度は実施に向けて一気に動き出し、各自動車メーカーは対応車を今回のモーターショーに向けて相次いで発表する運びになった。
LCGCに適合するには、排気量や燃費、部品の現地調達率などの条件を満たす必要があるが、見逃せない条件が車両のブランド名とロゴマークだ。インドネシア国内での本格普及を目指す車両だけに、政府はインドネシア国内を走るのにふさわしい仕様としてこの二つを義務づけたのだ。ブランド名はインドネシア語で名付けること、さらにインドネシアの文化を反映させたロゴマークを冠することとした。
中でもロゴマークは鳥の形をしたデザインが目立つが、これはインドネシアの国章にも用いられている神鳥「ガルーダ」を象ったものだ。適合第1号車となったトヨタ『アギラ』や、スズキ『カリムン ワゴンR』、ホンダ『ブリオ サティア』はこのタイプ。アギラのOEM元であるダイハツ『アイラ』は名称の頭文字“A”をデザイン化したものを採用する。