【日野環境技術説明会】近未来の環境対応車は棲み分けで対応…HVからEV、FCVまで

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日野自動車環境技術説明会
日野自動車環境技術説明会 全 4 枚 拡大写真

トラックと言えばエンジンはディーゼル。そんな常識も、もう少しすれば変わっているかもしれない。日野自動車の環境技術説明会のパネル展示で、今後の環境対応車の棲み分けを示したダイヤグラムがあった。

それを拝見しながら、HV開発部の清水室長に色々と質問してみた。EVが近距離で積載量が少なめの商用車向きと言うのはすぐに理解できる。ゴーストップが多い市街地ではエンジンよりもモーターの方が効率もいいしクリーンだ。バッテリーを多く積んでしまうとその分積載量が減ってしまうから、航続距離には自ずと限界がある。航続距離の短さも都市内だけの移動に限定し、急速充電を繰り返して一日に何便も繰り返し荷物を運べばいいのだ。

そしてハイブリッド(HV)の守備範囲が広いのも良く分かる。積載量が多ければ加速時にはモーターのアシストがあった方がエンジンの負荷も少なくて済むから排気ガスにも燃費にもいい。よほどの長距離を一定速で巡航するのでなければ、ディーゼルエンジンだけで走るより効率は良いはずだ。

しかしプラグインハイブリッド(PHV)がハイブリッドよりも、かなり限られた領域となっているのが腑に落ちない。「生産コストも含めて考えると、HVの方がオールマイティな使い方ができるんですよ」(清水室長)。確かに最初にバッテリーを充電した分を使い切ってしまえばPHVはHVと変わらなくなってしまうから、一日の走行距離が多くなればメリットは薄れる。バッテリーの性能が今よりもかなり向上すれば積み荷の積み下ろしの間に急速充電して、市街地をEVモードで走るような使い方もできそうだ。それでも長距離走行になるほどディーゼルエンジンだけのトラックが有利になるそうだ。

HVは巡航時にはあまり燃費に貢献しないのは、乗用車でも同じ。しかし大型トラックでは上り坂などの負荷の大きさを考えれば、バッテリーを小型化できるようになればHVも匹敵するようになるとも思える。

それとこのダイヤグラムでは、燃料電池(FCV)の活躍できる領域がいささか小さすぎないか、とも思えた。「近距離輸送では燃料電池スタックのコストなどを考えればEVより割高になってしまいますし、長距離ではインフラの問題で利用が制限されてしまうことになります。つまり、後はインフラ次第ですね」(清水室長)。

国の政策としてもこれから水素ステーションを急ピッチで増やしていく計画だが、果たして2020年頃までにどこまで普及が進むだろうか。EVを見ても分かる通り、新しいエネルギーを供給する体制を充実させるのは、なかなか難しいものだ。

《高根英幸》

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