東京メトロ、非常用地上バッテリー装置の走行実験を実施…2014年1月から

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非常用地上バッテリー装置の仕組み。回生ブレーキによって発生した電力を一時的に貯蔵し、停電時には最寄り駅までの自力走行電力を供給する。
非常用地上バッテリー装置の仕組み。回生ブレーキによって発生した電力を一時的に貯蔵し、停電時には最寄り駅までの自力走行電力を供給する。 全 1 枚 拡大写真

東京地下鉄(東京メトロ)と日立製作所は10月7日、非常用地上バッテリー装置を使用した車両走行実験を2014年1月にも開始すると発表した。回生ブレーキによって生じた電力を、非常用の走行電力としても使用する研究を進める。

電車や電気機関車、電気自動車などで用いられている回生ブレーキは、モーターを発電機として作動させることで減速、停止させるブレーキ。鉄道においては発生した電力を架線などの電車線に戻すことで、全体の使用電力を削減できるなどの利点がある。

東京メトロと日立が共同で開発している非常用地上バッテリー装置は、蓄電池式回生電力貯蔵装置で確立した日立の技術を応用したもの。回生ブレーキによって発生した電力を駅や駅間に設置した地上側の蓄電池で貯蔵し、列車の運行に必要な電力として利用する。

通常は蓄電池に一時的に貯蔵した電力で列車の加速を補助するが、震災などの影響で大規模停電が発生して列車が自力で走行できなくなった場合、貯蔵した電力を電車線に供給し、駅間で停止した列車を最寄り駅まで自力走行させる。これにより「乗客をより安全、かつ迅速に避難させることが可能」(日立)になるという。

東京メトロによると、震災などで駅間や長大橋りょう内で列車が停止した場合、現在は最寄り駅まで列車を走らせて乗客を駅で降ろしているが、停電の影響で自力走行できない場合、その場で乗客を降ろして線路内を徒歩で誘導している。こうしたことから同社は非常用バッテリー装置の研究を進めており、今年4月から車両に搭載する非常用車上バッテリー装置の走行実験を開始した。

非常用地上バッテリー装置の走行実験はこれに続くもので、東京メトロは「この走行実験により性能の検証を行い、既に実験を行っております非常用車上バッテリー装置とともに導入の可能性について検討してまいります」としている。

《草町義和》

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