アイソン彗星を観察するには? 国立天文台のお勧めは12月7日

宇宙 科学
日本で一般の人も肉眼で見られる彗星は十数年ぶり、と期待する渡部潤一教授。
日本で一般の人も肉眼で見られる彗星は十数年ぶり、と期待する渡部潤一教授。 全 3 枚 拡大写真

2013年11月29日に近日点を通過し、肉眼でも見える大彗星になると期待されているアイソン彗星。国立天文台 渡部潤一副台長がその特徴と、観察の期待度について講演した。

彗星は、太陽系の辺縁、オールト雲やエッジワース・カイパーベルトに起源をもつ凍った天体。太陽に近づくと彗星核の表面が溶け、水や二酸化炭素など表面の物質を放出し尾のようになった部分にも太陽の光を反射して地球からも明るく見えるようになる。放出する物質の量によって明るさが彗星ごとにまったく違い、個性が強いため見え方を事前に詳細に予測することは困難だという。

今年3月、同じく大彗星となることが期待されたパンスターズ彗星だが、こちらは、北半球からの観察条件が悪く、日本では春の大気に水蒸気量が多い時期にあたり、黄砂の影響もあって観察しにくかった。一方アイソン彗星は、太陽接近型と呼ばれる、近日点での太陽との距離が比較的近いタイプで、なおかつ核も大きい。大量の物質が放出されることが予測されるため、大彗星となる条件は揃っている。当初予想のマイナス13等級というずば抜けた明るさはさすがに期待できないものの、マイナス6等からマイナス1.5等程度が予測される。これまでの彗星の観察例からいえば、1965年の池谷・関彗星、2011年に南半球で観察されたラブジョイ彗星の中間程度の規模になるのではという。

アイソン彗星は11月29日に近日点を通過し、その後は長さ10度以上の直線的な尾がみられ、観察しやすくなる。渡部副台長がおすすめする観察日よりは、12月7日と8日だ。尾が十分に長く、かつ月は月齢4程度であまり明るくない。また週末にあたり、時間の余裕をもってゆっくり観察できる。10倍程度の手軽な双眼鏡で十分に観察できるとのことだ。アイソン彗星は夜明けの1時間半前くらいの時間帯がもっとも観察しやすい時間にあたる。冬の早朝で観察を行うには、安全にも十分に留意してほしいと国立天文台では呼びかけている。

《秋山 文野》

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