【スマートモビリティアジア13】燃料電池車、買いたくなるクルマに

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燃料電池車を手がける3メーカーのキーマンが一堂に会したスマートモビリティアジア13。2015年、燃料電池車の市場投入を計画するトヨタとホンダ。日産は2017年の投入を予定する。

燃料電池車を買いたくなるクルマに

トヨタ自動車の製品企画本部 田中義和氏は燃料電池車の市販について「無理して買ってもらうのではなくて、買いたいから買ってもらうというクルマにしたい」とし、水素インフラについては、個人的な見解と前置きしたうえで「インフラは安心感をどこまで出せるかです。水素インフラも一緒で、軽トラックの後ろにタンクなりで水素を積んで、フレキシブルにチャージするといった形なども想定できます」とした。

パネラーの一人として参加した九州大学教授の佐々木一成氏は「最終的にインフラの話になるときに、日本人の感覚も発展させる必要があると思います。できるところから取り組んで、はじめてみる。もし必要なら改善していくという考えでインフラを用意していけばよいのではないかと考えています。最初から高いものを望まなければ、ハードルを低くできます」とインフラ問題に言及した。

また、インフラを含む初期投資に関しては「大きな視点では、日本の基幹産業への投資という意味で、いま投資をすることが、日本の自動車産業を次のフェーズに移行させる、大切なポイントであると思います」と考えを述べた。

本田技術研究所の四輪R&Dセンター 守谷隆史氏は「我々は自動車メーカーとして、廉価ですばらしい性能のモーターをはじめとして、まずはクルマの技術を磨く。そうすることでクルマの価値に結びつけていきたいと考えています」と話した。

水素の価格がポイントに

日産の企画・先行技術開発本部 板幸真氏は、EVのノウハウを応用できるかという点に関して「水素だからエネルギーがためられる、という面があります。一方電気はどこでも使える、安い、というメリットがあります。これをいかに活かすかです。また、クルマが知能化し、インフラ協調する際には広がりが考えられます。将来モビリティとして、メリットがないと普及していかないので、水素の価格をどこまでおさえることができるのかということは、燃料電池車のポイントになると考えます。関連各社さまに協力してもらえるよう努めます」とした。

佐々木教授は「中長期的に、自動車会社とエネルギー会社は近しい存在になるのではないでしょうか。今後20年、30年の間に変わると思います。日本の自動車会社が、エネルギーの利用をビジネスにして、世界中で儲けるという形ができれば、日本の抱えるエネルギー問題も変わると思います」と述べた。

燃料電池車と世界と日本

トヨタの田中氏は、燃料電池と世界市場について「日本のエネルギー政策としても水素が使えるようになるのが一番です。弊社は20年間、燃料電池車の開発を続けています。燃料電池車は市販していないので、収益を発生する製品ではない。しかし開発にはすでに大きなお金をかけています。自動車会社は、グローバルに展開していますので、いいクルマを作れば、自国に自動車会社を持たない国にも貢献できると思います」と話した。

日産の板氏は、CO2問題解決に自動車メーカーの力が大きく貢献できると話す。「長期的に、CO2問題を考えると何らかの形で対応しないといけません。これは世界中の事実ですので、日本が自動車で先行するのはCO2問題への対応策としてもメリットだと思います」とした。

本田技術研究所の守谷氏は「燃料電池車は一朝一夕にできる技術ではないということがポイント。日本が資源の無い中で生きていくために、欠かせない技術です。2015年、2025年というところで考えると、まずは日本に燃料電池車関連の技術を蓄積していく。その後、グローバルに展開するものだと思いますね」と結んだ。

《土屋篤司》

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